MISC

2019年12月

飲酒日におけるエネルギー及び栄養素等摂取量の特徴 NIPPON DATA2010

日本循環器病予防学会誌
  • 岩橋 明子
  • 由田 克士
  • 荒井 裕介
  • 尾島 俊之
  • 藤吉 朗
  • 中川 秀昭
  • 奥田 奈賀子
  • 宮川 尚子
  • 門田 文
  • 岡村 智教
  • 大久保 孝義
  • 西 信雄
  • 上島 弘嗣
  • 岡山 明
  • 三浦 克之
  • NIPPON DATA2010研究グループ
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54
3
開始ページ
178
終了ページ
188
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(一社)日本循環器病予防学会

【目的】過度の飲酒はアルコールそのものが与える健康障害や循環器疾患の発症リスクのみならず、食事にも大きく影響する。しかし、国を代表する集団において飲酒量が栄養素等摂取量に与えている影響を詳細に検討した報告は限られている。そこで、飲酒日における栄養素等摂取量の特徴について検討した。【方法】平成22年国民健康・栄養調査にあわせて20歳以上の男女を対象に実施されたNIPPON DATA2010に参加した、生活習慣病の関連疾患での服薬がなく、栄養摂取状況調査の項目に欠損がない男性729名を解析対象とした。調査日1日の飲酒量に基づき、生活習慣病のリスクを高める量(純アルコール40g以上)の飲酒者をO群(111名)、適量飲酒者(同5g以上40g未満)をM群(187名)、非飲酒者(同5g未満)をN群(431名)とし、各群の栄養素及び食品群別の摂取量について比較検討した。【結果】血圧、HDL及びLDLコレステロール、AST、γ-GTPは、飲酒量により有意な差が認められた。総エネルギー摂取量及びアルコールエネルギー比率は、O群、M群、N群の順に有意に高かったのに対し、炭水化物エネルギー比率及び脂肪エネルギー比率は、O群、M群、N群の順に有意に低かった。また、たんぱく質エネルギー比率は、O群がM群及びN群と比較して有意に低かった。アルコール由来のエネルギーを除外して算出した場合、たんぱく質エネルギー比率は、O群及びM群がN群と比較して有意に高かった。脂肪エネルギー比率は、M群がN群と比較して有意に高かった。炭水化物エネルギー比率はO群及びM群がN群と比較して有意に低かった。たんぱく質、脂質、カリウム、マグネシウム、リン、ビタミンB2、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビタミンB12、飽和脂肪酸及びコレステロールについて、飲酒量により摂取量に有意な差が認められた。穀類、豆類、野菜類、果実類、菓子類及び嗜好飲料類について、飲酒量により摂取量に有意な差が認められた。【結論】多量飲酒日にはアルコールの摂取により総エネルギー摂取量が高値を示したが、それとは逆に主として穀類から由来する炭水化物の摂取量は低値を示した。循環器疾患をはじめとした生活習慣病予防において、過度の飲酒を控えることは、アルコールそのものによる影響だけでなく、食事によるエネルギー産生栄養素バランスを整える上でも重要であることが示唆された。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1346-6267
  • 医中誌Web ID : U115480005

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