2010年3月31日
ヒト腸内細菌のゲノム情報に基づく機能解析と生体影響 : 第2報
麻布大学雑誌 = Journal of Azabu University
- 巻
- 19-20
- 号
- 19
- 開始ページ
- 121
- 終了ページ
- 123
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 麻布大学
我々は, ヒト消化管からの分離株であるL. rhamnosus ATCC 53103 株(別名としてGG 株)のゲノムを配列決定した。ATCC 53103 株は,最もプロバイオティクス効果の研究されている菌株の1 つである。本菌株のゲノムサイズは,3.0 Mb の染色体を有し,2,836 のタンパク質をコードしていた。糖代謝・アミノ酸代謝とその輸送に関係するタンパク質の他に,注目に値する防衛機構に関する遺伝子を多く保有していた。比較のゲノム分析で,広範囲なシンテニーがL. rhamnosus ATCC 53103 株とその近縁種であるL. casei ATCC 334 株(チーズ分離株)の間でみられた。しかし,L. rhamnosus ゲノムには多数の挿入,すなわち,PTS-タイプ輸送機システム,配糖体ヒドロラーゼと転写制御因子のために遺伝子から成る遺伝子群を含み,腸環境への潜在的適合性を反映していた。ATCC 53103 株には多くの細胞表面付着タンパク質が予測された。さらに,そのゲノムは,付着性に対して機能的なSpaCBA 線毛をコード化していた。L. rhamnosus ゲノムのこれらの特徴は,消化管生存に関与して,腸の粘膜と微生物叢との相互作用に貢献していると推察された。
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 1346-5880
- J-Global ID : 201002219126435740
- CiNii Articles ID : 120005406486
- CiNii Books ID : AA11561468