2017年10月
政策声明 認知症に対する口腔保健の予防的役割
口腔衛生学会雑誌
- 巻
- 67
- 号
- 4
- 開始ページ
- 251
- 終了ページ
- 259
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本口腔衛生学会
認知症に影響する口腔関連の要因には、歯周組織の慢性炎症状態、口腔への刺激および咀嚼運動による脳への刺激、口腔機能の低下による低栄養、長期間にわたるバランスの良い食事スタイル、生活習慣病および社会交流が挙げられる。これらのエビデンスとして国内外での多くの縦断または介入研究において、認知機能の低下・認知症の発症と口腔健康状態との間で有意な関連が報告されている。したがって、口腔保健は認知症予防に寄与する蓋然性が高いと考えられ、口腔保健に従事する関係者は、このことを念頭に置いて一次〜三次予防(口腔疾患の予防、早期発見・早期治療による歯の喪失の予防、喪失部位に対する補綴治療)を系統的に今後進めていく必要がある。また、口腔保健からのアプローチは他職種との連携を通して行われる必要がある。加えて、政策面においては高齢者における介護予防プログラムへの歯科保健の導入を一層促進すべきであり、研究面においては認知機能の低下・認知症の発症に及ぼす口腔保健の効果についてエビデンスをさらに積み重ね、認知症予防に向けた認知症施策の推進と評価に資する根拠と実践を図ることが必要である(図)。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0023-2831
- 医中誌Web ID : 2018032865