共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年11月 - 2025年3月

土器の年代と使用法の化学的解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A)  学術変革領域研究(A)

課題番号
20H05813
体系的課題番号
JP20H05813
配分額
(総額)
113,490,000円
(直接経費)
87,300,000円
(間接経費)
26,190,000円

本研究は、縄文時代の栽培植物と縄文・弥生移行期における大陸系穀物の出現時期および地域的な伝播過程を復元する。「基礎試料研究」では、主に種実の潜在圧痕に含まれる炭化物を微小量炭素年代測定法によって分析し、「応用研究」では、器種・器形分類、使用痕観察、脂質分析をおこなう学際的なアプローチにより、当時の食性復元を目指す。
「基礎試料研究」では、①「弥生農耕の起源に関する研究」として、潜在圧痕に含まれる微量炭化物の分析をおこなった。福岡県粕屋町江辻遺跡、鹿児島県志布志市小迫遺跡において、土器に包埋された微量炭化物の年代測定に成功し、論文を国際誌などに投稿した(受理済)。江辻遺跡では、第6層出土のアワの土器包埋炭化物の年代が、縄文時代晩期に遡る可能性があり、縄文時代晩期から弥生時代早期にかけての大陸系穀物の受容年代について新しい知見が得られた。この他に、②「東北北部の縄文時代晩期試料との比較検討」として、秋田県湯沢市鐙田遺跡の縄文時代晩期試料の分析を実施した。
「応用研究」では、③「縄文時代の土器による煮炊きの復元」として、縄文時代前~後期前葉の北海道函館市大船、垣ノ島遺跡を主として分析をおこない、道南地域における土器による煮炊きの経時変化を検討した。また、④「弥生時代の土器による煮炊きの復元」として、奈良県田原本町唐古・鍵遺跡などから出土した土器付着炭化物の脂質分析をおこなった。当該遺跡では、前期・中期前葉までは、C3植物主体を主体とする煮炊きの傾向を示したが、中期中葉以降は、魚などを起源とする水棲動物のバイオマーカーとキビのバイオマーカーが検出された。この他に、⑤「様々な土器への脂質分析の活用」として、縄文・弥生移行期における江辻遺跡、縄文クッキー、灯明皿などのランプ類、蜜蝋、土器外面の黒色化の様相なども幅広く研究対象として、土器残存有機物の起源を総合的に検討した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PLANNED-20H05813
ID情報
  • 課題番号 : 20H05813
  • 体系的課題番号 : JP20H05813

この研究課題の成果一覧

論文

  5

MISC

  16

講演・口頭発表等

  25

社会貢献活動

  2