2020年11月 - 2025年3月
土器の年代と使用法の化学的解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A) 学術変革領域研究(A)
本研究は、縄文時代の栽培植物と縄文・弥生移行期における大陸系穀物の出現時期および地域的な伝播過程を復元する。「基礎試料研究」では、主に種実の潜在圧痕に含まれる炭化物を微小量炭素年代測定法によって分析し、「応用研究」では、器種・器形分類、使用痕観察、脂質分析をおこなう学際的なアプローチにより、当時の食性復元を目指す。
「基礎試料研究」では、①「弥生農耕の起源に関する研究」として、潜在圧痕に含まれる微量炭化物の分析をおこなった。福岡県粕屋町江辻遺跡、鹿児島県志布志市小迫遺跡において、土器に包埋された微量炭化物の年代測定に成功し、論文を国際誌などに投稿した(受理済)。江辻遺跡では、第6層出土のアワの土器包埋炭化物の年代が、縄文時代晩期に遡る可能性があり、縄文時代晩期から弥生時代早期にかけての大陸系穀物の受容年代について新しい知見が得られた。この他に、②「東北北部の縄文時代晩期試料との比較検討」として、秋田県湯沢市鐙田遺跡の縄文時代晩期試料の分析を実施した。
「応用研究」では、③「縄文時代の土器による煮炊きの復元」として、縄文時代前~後期前葉の北海道函館市大船、垣ノ島遺跡を主として分析をおこない、道南地域における土器による煮炊きの経時変化を検討した。また、④「弥生時代の土器による煮炊きの復元」として、奈良県田原本町唐古・鍵遺跡などから出土した土器付着炭化物の脂質分析をおこなった。当該遺跡では、前期・中期前葉までは、C3植物主体を主体とする煮炊きの傾向を示したが、中期中葉以降は、魚などを起源とする水棲動物のバイオマーカーとキビのバイオマーカーが検出された。この他に、⑤「様々な土器への脂質分析の活用」として、縄文・弥生移行期における江辻遺跡、縄文クッキー、灯明皿などのランプ類、蜜蝋、土器外面の黒色化の様相なども幅広く研究対象として、土器残存有機物の起源を総合的に検討した。
「基礎試料研究」では、①「弥生農耕の起源に関する研究」として、潜在圧痕に含まれる微量炭化物の分析をおこなった。福岡県粕屋町江辻遺跡、鹿児島県志布志市小迫遺跡において、土器に包埋された微量炭化物の年代測定に成功し、論文を国際誌などに投稿した(受理済)。江辻遺跡では、第6層出土のアワの土器包埋炭化物の年代が、縄文時代晩期に遡る可能性があり、縄文時代晩期から弥生時代早期にかけての大陸系穀物の受容年代について新しい知見が得られた。この他に、②「東北北部の縄文時代晩期試料との比較検討」として、秋田県湯沢市鐙田遺跡の縄文時代晩期試料の分析を実施した。
「応用研究」では、③「縄文時代の土器による煮炊きの復元」として、縄文時代前~後期前葉の北海道函館市大船、垣ノ島遺跡を主として分析をおこない、道南地域における土器による煮炊きの経時変化を検討した。また、④「弥生時代の土器による煮炊きの復元」として、奈良県田原本町唐古・鍵遺跡などから出土した土器付着炭化物の脂質分析をおこなった。当該遺跡では、前期・中期前葉までは、C3植物主体を主体とする煮炊きの傾向を示したが、中期中葉以降は、魚などを起源とする水棲動物のバイオマーカーとキビのバイオマーカーが検出された。この他に、⑤「様々な土器への脂質分析の活用」として、縄文・弥生移行期における江辻遺跡、縄文クッキー、灯明皿などのランプ類、蜜蝋、土器外面の黒色化の様相なども幅広く研究対象として、土器残存有機物の起源を総合的に検討した。
- ID情報
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- 課題番号 : 20H05813
- 体系的課題番号 : JP20H05813
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
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茨城県考古学協会誌 35 85-102 2023年5月
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考古学ジャーナル 779 10-14 2023年3月 招待有り
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日本考古学 54 1-17 2022年5月 査読有り
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秋田考古学 64・65 37-48 2021年12月
MISC
16-
日本調理科学学会誌 55(5) 245-250 2022年10月5日 招待有り
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横須賀考古学会研究紀要 (9) 29-34 2022年8月
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令和2年-6年度文部科学省科学研究費補助金研究学術変革領域研究(A)土器を掘る-22世紀型考古資料学の構築と社会実装をめざした技術開発型研究ニュースレター (3) 17-17 2022年4月 招待有り
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日本オリエント学会第63回年次大会 研究発表要旨集 2021 15-15 2021年10月31日
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日本文化財科学会第38回大会研究発表要旨集 30-31 2021年9月19日
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日本文化財科学会第38回大会研究発表要旨集 26-27 2021年9月19日
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日本文化財科学会第38回大会研究発表要旨集 142-143 2021年9月19日
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日本文化財科学会第38回大会研究発表要旨集 24-25 2021年9月19日
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日本文化財科学会第38回大会研究発表要旨集 248-249 2021年9月19日
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日本文化財科学会第38回大会研究発表要旨集 32-33 2021年9月19日
講演・口頭発表等
25-
2023年度文部科学省科学研究費補助金学術変革領域研究(A)「土器を掘る」若手研究者のための土器研究セミナー第3回(熊本大学・熊本市・ハイブリッド開催) 2024年2月17日 招待有り
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日本文化財科学会第40回記念大会(奈良文化財研究所、なら歴史芸術文化村・奈良県奈良市、天理市) 2023年10月22日
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日本考古学協会第89回総会(東海大学・神奈川県平塚市) 2023年5月28日
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日本考古学協会第89回総会(東海大学・神奈川県平塚市) 2023年5月28日
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日本考古学協会第89回総会(東海大学・神奈川県平塚市) 2023年5月28日
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2022年度文部科学省科学研究費補助金学術変革領域研究(A)「土器を掘る」研究成果報告会(鹿児島県立埋蔵文化財センター・鹿児島県霧島市・ハイブリッド開催) 2023年3月5日 招待有り
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2022年度文部科学省科学研究費補助金学術変革領域研究(A)「土器を掘る」若手研究者のための土器研究セミナー第2回(熊本大学・熊本県熊本市・ハイブリッド開催) 2023年2月19日 招待有り
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2022年度文部科学省科学研究費補助金学術変革領域研究(A)「土器を掘る」若手研究者のための土器研究セミナー第2回(熊本大学・熊本県熊本市・ハイブリッド開催) 2023年2月19日 招待有り
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2022年度文部科学省科学研究費補助金学術変革領域研究(A)「土器を掘る」研究成果報告会(北海道大学・北海道札幌市・ハイブリッド開催) 2022年10月29日
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日本文化財科学会第39回大会 2022年9月11日
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出演, 講師八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館 令和4年度 是川縄文館 考古学講座( 前期 )「土器から考える縄文のくらしと技術」 2022年7月9日 - 2022年7月9日
社会貢献活動
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