2018年4月 - 2022年3月
中小企業における管理会計能力と財務業績の関係に関する経験的研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
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- 課題番号
- 18H00912
- 配分額
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- (総額)
- 16,380,000円
- (直接経費)
- 12,600,000円
- (間接経費)
- 3,780,000円
本研究は、澤邉・吉永・市原(2015)が提唱した「組織された専門家による観測」手法を確立することでリアリティの高いデータを入手し、中小企業における管理会計能力の財務業績に対する効果を、①どのような管理会計能力が財務業績向上に貢献しているのか(管理会計能力の概念的洗練)、②管理会計能力はどのように財務業績向上に貢献しているのか(メカニズムの解明)、③管理会計能力は財務業績向上にどの程度貢献しているのか(経済的価値の測定)、を明らかにすることを目指すものである。
この目的を達成するため、①先行研究の批判的検討、②定性的な調査を通じた「管理会計能力概念」の洗練およびメカニズムの抽出、③専門家の組織化と観測方法の伝達、④尺度開発、⑤データ収集、⑥データ処理・分析、⑦分析結果解釈・フィードバック、を平成30年度は平行して実施した。
その結果、過年度に実施したパイロットテストから得たデータを分析することで、経営の会計的PDCAを回す能力と財務業績の間には正の相関があるが、業績評価測定システム整備度だけをとってみると中小企業の財務業績とは負の相関を示していることが確認された。これは、業績評価システムを整備するために費やしたコストを上回る成果を上げるためには、会計的PDCAを回す能力が必要であることを示唆している。
また、定性的な調査を通じて、ビジネススクール等で学んだ経営者が移籍することで、内外の環境変化に適応する形で管理会計システムが整備されることで、中小企業においても財務業績の改善が図られていることが確認できた。これは、上層部理論と関連する知見であるが、スタティックな関係ではなく、中小企業においては経営層の知識が経営管理システムのダイナミックな変化を通じて財務業績に影響している可能性を示唆するものである。
この目的を達成するため、①先行研究の批判的検討、②定性的な調査を通じた「管理会計能力概念」の洗練およびメカニズムの抽出、③専門家の組織化と観測方法の伝達、④尺度開発、⑤データ収集、⑥データ処理・分析、⑦分析結果解釈・フィードバック、を平成30年度は平行して実施した。
その結果、過年度に実施したパイロットテストから得たデータを分析することで、経営の会計的PDCAを回す能力と財務業績の間には正の相関があるが、業績評価測定システム整備度だけをとってみると中小企業の財務業績とは負の相関を示していることが確認された。これは、業績評価システムを整備するために費やしたコストを上回る成果を上げるためには、会計的PDCAを回す能力が必要であることを示唆している。
また、定性的な調査を通じて、ビジネススクール等で学んだ経営者が移籍することで、内外の環境変化に適応する形で管理会計システムが整備されることで、中小企業においても財務業績の改善が図られていることが確認できた。これは、上層部理論と関連する知見であるが、スタティックな関係ではなく、中小企業においては経営層の知識が経営管理システムのダイナミックな変化を通じて財務業績に影響している可能性を示唆するものである。
- ID情報
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- 課題番号 : 18H00912
- 論文の業績ID : 32079031