基本情報

所属
駒澤大学 総合教育研究部 非常勤講師
学位
博士(文学)(東京大学大学院)
修士(文学)(東京大学大学院)

連絡先
jkuzuyag.ecc.u-tokyo.ac.jp
J-GLOBAL ID
201901007168599838
researchmap会員ID
B000351675

現在の主な関心は次の四つです。

1. メタ意味論が言語哲学に与えたインパクト

 R・スタルネイカーによれば、S・クリプキの『名指しと必然性』の最大の貢献は、現在「意味論」と「メタ意味論」の名で呼ばれるものを明確に区別したことにあります*1。私が見る限り、この区別(が徐々に浸透していったこと)を大きな要因の一つとして、言語哲学が取り組むべき問題とは何かに関する理解が大きく様変わりしました。そしてこのような変化は、言語哲学と(経験科学としての)言語学の「接近」や、近年盛んとなっている「応用言語哲学」と呼ばれうる分野の発展などを理解する上でも重要な要素になっていると考えられます。私の現在の主な関心は、このような問題意識の変化を、それ以外の要因(例えば可能世界論の導入や心の哲学における機能主義の台頭)と共に、主に1960年代から1990年代にかけて追跡することです。

2. 説明可能AIの分野における哲学的な問題系

 人工知能(AI)の発展が目覚ましい一方で、その背景にある機械学習技術の帰結としてのシステムの「ブラックボックス化」が、信頼と責任の観点から社会実装の障害となっています。こうしたブラックボックス化の問題を解決するために「説明可能AI」と呼ばれる分野では、透明性や説明責任を実装するための技術的な取り組みが急速に進められましたが、その中で「説明可能性は本当に信頼と責任の問題に寄与するのか」「寄与するのであればどういった意味での「説明」なのか」「そもそも、説明とは何なのか」といった問題系に取り組む研究もすでに学際的に展開しています。このような問題系にメタ意味論、哲学的因果論や自然主義的な心の哲学の知見からアプローチする研究を進めています。

3. 応用言語哲学

 応用言語哲学はミスリードやフェイクニュース、差別的発言、言葉による抑圧といったいわば「実社会における言語の問題」に現代言語哲学の知見を応用するもので、近年研究が盛んになっています。これまで、カペレンとディーヴァーの著作であるBad Languageの翻訳『バッド・ランゲージ』勁草書房, 2022年)に共訳者として参加するほか、理化学研究所においてフェイクニュースやファクトチェックに関連する哲学的語用論の知見を整理し共有するといった形で研究を進めています。

4. 初期・中期フッサールの意味概念の解釈

 フッサール現象学の到達点と限界を明確化するためには、メタ意味論の文脈に位置付けてフッサールを解釈することが重要であるという見通しのもと、『論理学研究』以降のフッサールの意味概念をメタ意味論の文脈に位置付けて評価することに関心があります。

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*1  Stalnaker, Robert C. (1997). Reference and necessity. In Bob Hale & Crispin Wright (eds.), A Companion to the Philosophy of Language. Blackwell. なお、スタルネイカー自身は「意味論」と「メタ意味論」の代わりに「記述意味論」と「基礎意味論」という用語を用いています。 


研究キーワード

  5

主要な書籍等出版物

  1
  • 葛谷, 潤, 杉本, 英太, 仲宗根, 勝仁, 中根, 杏樹, 藤川, 直也 (担当:共訳, 範囲:第3章・第4章・第5章、第10章前半) (原著:Cappelen, Herman, Dever, Josh)
    勁草書房 2022年10月 (ISBN: 9784326103102)

論文

  13

講演・口頭発表等

  14

社会貢献活動

  1

担当経験のある科目(授業)

  7

共同研究・競争的資金等の研究課題

  2

所属学協会

  2

MISC

  1