共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

可逆性を重視した新規フレイル改善プロクラムの地域実践型モデル開発と検証

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
19H03896
体系的課題番号
JP19H03896
配分額
(総額)
17,160,000円
(直接経費)
13,200,000円
(間接経費)
3,960,000円

本研究の目的は、フレイルの可逆性を重視した改善プログラムを開発・実証することで、既にフレイルを有する高齢者を含む全高齢者の健康状態の底上げに資する知見を得ることである。2019年度は、大規模コホート縦断追跡調査(柏スタディ)データを用いて、フレイル状態から改善した高齢対象者の生物学的・精神心理学的・社会学的な特性を探索、改善要因の同定を試みた。その際、学際的な視点を解析や考察に活かすため、多分野の研究従事者らがステアリングコミッティを定期開催し、具体的な解析方法やその後の改善プログラムの素案に関する議論を重ねた。
具体的に、大規模コホート調査(追跡期間、中央値6年)の時系列データを検討すると、初回調査時にフレイルに該当した147名の内、47%が改善していることが分かった。また、初回調査時にプレフレイル(予備群)であった829名の内、24%は非フレイル(健常)まで改善していた。次に、フレイルから改善した者の身体的、精神・心理的、社会的な特性を探索するため、フレイル改善の経時的変化に関する詳細な分析を行った。結果として、フレイルからの改善には筋力や身体機能の維持が重要であったが、加えて日常的な生活習慣の中での様々な特徴も見出された。具体的には、栄養(食品摂取多様性が豊富)、運動(座位活動時間が少ない)、社会参加(町外への外出)が具体的な改善要因として挙げられた。逆に、口腔機能の低下(オーラルフレイル)や多剤併用は改善を妨げる要因であった。
研究初年度は既存の観察研究データを二次利用することで、地域在住高齢者のフレイルあるいはプレフレイルからの6年間の改善率と、改善要因を同定した。改善要因には慢性既往や不可逆的な要因のみならず、日常的な生活習慣といった可逆的な介入ポイントも明らかにできた。これらの新知見を次年度以降の、より実践的なフレイル改善プログラム開発に活かしていく。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19H03896
ID情報
  • 課題番号 : 19H03896
  • 体系的課題番号 : JP19H03896