基本情報

所属
津田塾大学 研究所 国際関係研究所 特任研究員
(兼任)学芸学部 非常勤講師
明治学院大学 国際学部 非常勤講師
東洋英和女学院大学 非常勤講師
白百合女子大学 カトリック教育センター 非常勤講師
学位
博士(文学)(東京大学)
修士(文学)(東京大学)
学士(文学)(東京大学)

通称等の別名
髙久(中西)恭子, 髙久恭子
研究者番号
90626590
J-GLOBAL ID
201301025856229240
researchmap会員ID
B000229789

【2023年4月記】
プロフィル

中西恭子
宗教学宗教史学・古代ローマ宗教史・西洋古典学・古典受容史研究。
日本学術振興会特別研究員(PD)を経て津田塾大学・白百合女子大学ほか非常勤講師、東京大学大学院人文社会系研究科研究員を経て津田塾大学国際関係研究所特任研究員。
東京生まれ。東京都立国立高等学校卒業、東京大学文学部第二類西洋史学専修課程卒業(学士(文学))、東京大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻西洋史学専門分野修士課程修了(修士(文学))、東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野博士課程修了(博士(文学))。
著書に『ユリアヌスの信仰世界』(慶應義塾大学出版会、2016年)、詩集に『The Illuminated Park 閃光の庭』(なかにしけふこ名義、書肆山田、2009年、第10回中原中也賞最終候補作品)、訳書にエドワード・J・ワッツ『ヒュパティア 後期ローマ帝国の女性知識人』(白水社、2021年)など。

なかにしけふこ名義で詩歌と散文詩(短編小説)と評論の実作を手掛ける。
評論デビューは『るしおる』(書肆山田)への寄稿。いまは『ユリイカ』『現代思想』(青土社)に寄稿多数。
歌人としては『かばん』と『玲瓏』の会員だったこともある。
鍵盤楽器と歌を好み、音楽と詩に助けられる人生を歩んできた。
観劇と服作りと保存食作りとセリ科の植物、香粧品観望・甘味観望も大いに好む。



【2022年11月記】
古代末期地中海世界の宗教史・宗教文化史、西洋古典受容史を中心に研究と執筆活動に携わっています。
大学ではおもに宗教学・キリスト教史・西洋古典語・フィールドワークの授業を担当しています。
講演・執筆の機会もどうぞよろしくお願いいたします。

2016年に『ユリアヌスの信仰世界 万華鏡のなかの哲人皇帝』(慶應義塾大学出版会)を上梓しました。
2021年に翻訳書『ヒュパティア 後期ローマ帝国の女性知識人』(エドワード・J・ワッツ著、中西恭子訳、白水社)を上梓しました。
この6年で古代末期地中海世界の宗教思想史・宗教文化史からさらに関心が広がりました。
そして、さあこれからもっと研究を深めて文章を書いてゆくぞ、と思った矢先に、いくさの影の深いパンデミックのまっただなかの時代に放り込まれることになるとは思ってもみませんでした。
古代ローマ帝国の崩壊期もまた、「ほろびの時代」「激動の大転換期」といわれる時代です。かの時代のことを研究すればするほど、「そちらのほうへいってはいけない」現象や、それでもなんとかよりよく生きようとした人々の存在や、いままで我々はなにをしてきたのだろう、と過去をふりかえる人々の存在がいよいよリアリティをもって身に迫ります。
闇と不幸一色に染まらずに生きるにはいったいなにがだいじなのか。
それでもなお教室で出会う若い人や、読んでくださるかたに希望を語るためには、いったいなにがだいじなのか。
疫病流行のために人と会うことがとても貴重な機会になったいま、そのようなことを考える日々です。

いま構想執筆中の書籍は以下のような題材です。
・ユリアヌスの評伝(受容史も射程に置いた読みやすいもの)
・テウルギア(神働術)の歴史
・古代末期地中海世界の哲学者たちと星辰信仰の思想
・これまでの文芸・演劇観望をまとめた評論・エッセイ集

古代末期研究においても、女性と宗教と学問とたましいの自由の問題はたいへん重要です。どのようにすれば抑圧的な規範の再強化につながらない方向で、そして「既存の秩序の内部からゆさぶる」ものを書くことができるかを模索しています。長期的課題になるでしょう。

ここ数年のオンラインでの講演・対談を「研究ブログ」にUPしましたので、ぜひそちらもごらんください。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

第二詩集も遠からずまとめたいものです、と考えながら干支がひとまわりしてしまいました。
これについては、静かに内的な声に耳を傾ける時間が必要かもしれません。

【2016年10月記】

ひとつの文明の変容の時代としての古代末期地中海世界/帝政後期ローマにおける宗教思想史・宗教文化史を研究しています。主に4世紀から6世紀の事例を中心に観察しています。

それまで漠然と古代地中海世界で広く共有されていた多神教的な世界観と供犠や奉納の意義がゆらいでいた時代に、当時の文人たちはみずからの父祖たちの宗教をどのようにとらえていたのか。そのような観点から古代末期における宗教史表象の系譜を研究しています。
後代における古代末期イメージの受容史もこれから調べるべき課題となるでしょう。

単著『ユリアヌスの信仰世界 万華鏡のなかの哲人皇帝』を慶應義塾大学出版会から上梓しました。
日本ではイプセンやメレジコーフスキイや辻邦生の戯曲・小説で知られてきたローマ皇帝ユリアヌスが見た同時代の宗教と父祖たちの祭祀の伝統とははたしてなんであったのか。彼が求めた威厳ある清潔な宗教の実相とはなんであったのか。ユリアヌスの読書経験とイアンブリコス派新プラトン主義の関わりを参照しつつこの問題に取り組んで、見通しを提供した著作です。
日本人研究者によるユリアヌスの知的伝記としてははじめての試みです。

物語と詩とその作者が「宗教的なるもの」をどのように語り、読者(聞き手)とどのように関わってきたのか。
このような問題にも関心があります。
近現代の文学(特にファンタジー文学、スペキュレイティヴ・フィクション、詩歌)と民俗表象、幻想の古代・中世の表象についても調べています。
折口信夫と西脇順三郎の影響関係、折口信夫の西洋古代体験についても文章を書きました。
いずれはこちらの系列の著作もまとめて単著として上梓したいと考えています。

教員としては主に一般教養の宗教学宗教史学・キリスト教史・歴史学を担当しています。高校世界史レベルの宗教史知識から大学での学習への橋渡しのほか、創作と歴史研究の距離感を体得するお手伝い、宗教現象を学的対象としてとらえる視点への入り口を示して宗教現象に対する必要以上の警戒感をほどくお手伝いをしております。ただいま求職中です。

詩と短歌を「なかにしけふこ」の筆名で手がけています。
詩集『The Illuminated Park 閃光の庭』(書肆山田、2009年)で中原中也賞の最終候補になりました。


経歴

  18

委員歴

  2

書籍等出版物

  8

論文

  27

MISC

  38

講演・口頭発表等

  70

担当経験のある科目(授業)

  18

主要な共同研究・競争的資金等の研究課題

  11

学術貢献活動

  3

社会貢献活動

  11