2021年3月
「大学生の自殺予防プログラム全国開発研究」全国調査の経過報告
大学のメンタルヘルス
- 巻
- 4
- 号
- 開始ページ
- 71
- 終了ページ
- 78
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- 出版者・発行元
- (NPO)全国大学メンタルヘルス学会
国立大学法人保健管理施設協議会メンタルヘルス委員会を母体とする本学会(全国大学メンタルヘルス学会)では、複数大学の有志で2018年に「大学生の自殺予防プログラム開発研究」研究班を組織し、大学間連携により全国的な普及が可能な大学生の自殺予防プログラムの開発に着手した。今回、プログラムの開発に先立ち、わが国の大学における自殺予防対策の実態とプログラム開発上の課題を明らかにすることを目的に、全国の国公立私立大学を対象に「大学の自殺予防対策に関する現況調査」を実施し、195大学(国立49、公立37、私立109)より回答を得た。その結果、国立大学に比べ公立・私立大学は、学生数が少ない大学の比率が高く、保健管理施設は常勤精神科医師や身体科医師の配置が少なかった。自殺既遂者の把握率は国立大学で8割、公立・私立大学では約6~7割にとどまっており、3年間自殺者が出ていない大学は約3割に過ぎず、3年間で10~20人の既遂者が出ている大学も数%みられた。また、全学的な自殺対策を実施している大学は6割、大学生に対して自殺予防に関わる教育研修を実施している大学は3割程度で、自殺予防教育の必要性に異論のある大学はほとんどないが、講師や時間の確保、全学的な合意形成が困難という理由で実施困難なところが多かった。
- ID情報
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- ISSN : 2433-2615
- ISBN : 9784894913899
- 医中誌Web ID : 2022265324