基本情報

所属
東京農業大学 農学部生物資源開発学科 客員教授
学位
農学博士(1985年3月 東京大学)

連絡先
leeswijzergmail.com
研究者番号
40354112
J-GLOBAL ID
201601015120507533
researchmap会員ID
B000259167

外部リンク

主として統計学と体系学の観点から生物データの可視化と解析そしてモデリングに関する研究を進めている.研究テーマとしては,「系統樹概念に関わる数理系統学的研究」「生物多様性の系統学的可視化とインフォグラフィクス」「系統樹推定に関わる計算系統学的研究」「系統樹思考に関わる生物学哲学的研究」「幾何学的形態測定学の理論と応用」を担当している.詳細については下記を参照していただきたい.

・【系統樹概念に関わる数理系統学的研究】生物の系統発生は,祖先子孫関係あるいは姉妹群関係によって順序づけられた系統樹という代数的離散構造として数学的に定式化できる.とくに,系統発生の基本モデルとしてのツリー構造とネットワーク構造,ならびにそれらの間の関係の総体を,半順序関係に基づく公理的体系として構築できた.さらに,系統樹の上で復元される仮想共通祖先の形質状態に関しても,離散数学における一問題とみなすことによりその一般的解決が可能になった.生物がかたちづくる系統発生の背後にある数学的構造とその統計学的性質を明らかにすることを目指している.
・【生物多様性の系統学的可視化とインフォグラフィクス】生物系統学の長い歴史のなかで用いられてきたさまざまなダイアグラム(チェイン・ツリー・ネットワーク・マップ)の図像学て歴史とその汎用性ならびに用途を調べることにより,系統関係の可視化にとってより有効なインフォグラフィクスの理論を構築する.
・【系統樹推定に関わる計算系統学的研究】コンピュータを用いた系統樹の構築は,端点集合(実際に形質情報が得られた生物の集合)のもとである目的関数(最節約基準や最尤基準など)を最大化・最小化するグラフを求めるという離散最適化問題とみなすことができる.この問題は,現代数学の中でも最難度の「NP完全問題」のひとつであり,端点数が増大したときにリーズナブルな計算時間内で最適解に到達することは現時点では不可能である.したがって,発見的探索アルゴリズムを改良することで,現実の系統樹推定にかかる時間を低減させるしかない.ところが,いま用いられているさまざまな系統推定ソフトウェアは端点集合のサイズの上限がたかだか数千までにとどまっており,今後増大し続けるデータの規模に対応できていない.そこで,数万の端点をもつ場合にも対応できるような,巨大系統樹を推定するための新しい系統推定アルゴリズムを現在開発し,現実の微生物などの分子系統解析への適用を試みている.
・【系統樹思考に関わる生物学哲学的研究】生物多様性を理解するためのより所として,ツリーあるいはネットワークを採用することは,生物系統学の根幹に関わる基本モデルの仮定にほかならない.生物系統学はより一般的な歴史分析のひとつの発現であると見なされる.歴史科学がサイエンスとしてどのような位置づけをもつのか,生物の系統発生や進化のような個別事象に関わる仮説のテスト可能性あるいは妥当性をどのように哲学的に基礎づければよいのかという問題は,生物学と科学哲学の接点にある古くて新しい問題群である.観察されたデータのもとでの最適解の優位性をアブダクションという推論様式の観点から擁護しようと現在考察を進めている.
・【幾何学的形態測定学の理論と応用】生物など対象物の形状のもつ幾何学的形状を定量的に解析するための数学的・統計学的な理論の開発とともに,実際の対象物のデータ取得から解析にいたる実践的手法の確立を目指している.

研究キーワード

  5

書籍等出版物

  41

論文

  41

講演・口頭発表等

  17

MISC

  96

担当経験のある科目(授業)

  17

共同研究・競争的資金等の研究課題

  3