本研究では，日本の公立高等学校における探究型学習と学校図書館の関わりについて，まずは現状を実証的に考察することを目的として，探究型学習を学校カリキュラムとして採用して10年程の実践蓄積がある神奈川県立神奈川総合高校，京都市立堀川高校，群馬県立尾瀬高校の3校と、習得型学習を中心に行っている神奈川県立湘南高校を対象に，訪問調査並びにインタビュー調査を行った。インタビューの結果，１）校内において学校図書館が探究型学習への支援を求められる度合い，２）学校司書自身の仕事のイメージにおける学習支援の位置づけ，３）校内における制度上の要因，４）学校図書館の理系の探究型学習に対応するノウハウの有無によって，学校図書館の探究型学習への関与の程度が決定することが明らかになった。