2013年9月3日
原子一つから化学結合情報を検出する?
第29回分析電子顕微鏡討論会
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 口頭発表(招待・特別)
- 主催者
- 日本顕微鏡学会
- 開催地
- Venue(Japanese)
収差補正機構を備えた低加速走査透過型電子顕微鏡では,原子間距離よりも細く絞った電子ビームをスキャンして原子像を得ると同時に,その原子に固有なエネルギー状態を調べることができる.原子1層からなる二次元シート,例えばグラフェンの端にある配位数の異なる原子や六方晶窒化ホウ素(h-BN)の点欠陥に隣接した配位数の異なる窒素原子のイメージングとその原子からの特徴的なスペクトル結果を報告する.特に同じ原子でもその結合状態が異なると内殻スペクトルに違いが生じ,エネルギー損失吸収端微細構造(ELNES)の低エネルギー側に強度の大きな未知のピークとして現れてくることが分かった.これは最低非占有準位における状態密度の増加が寄与し,グラフェン端やh-BNの欠陥が電子受容のパスとして機能することを示唆している.