2020年4月 - 2024年3月
戦国軍記・合戦図の史料学的研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
交付申請書に記した研究目的は以下の通りであった。第一に、戦国軍記の誤謬や虚構性のみを取り上げて断罪するだけではなく、そのなかから歴史史料として有用なものを確定して、一次史料の欠を補う記述や、一次史料とは異なる視点に基づく内容を取り出す。また、そのための方法論を磨く。第二に、戦国合戦図のなかに数千人もの兵士が描かれているものもあり、そもそも何が描かれているのかが判然としないものもあるが、高精細カメラによって写真撮影して、肉眼では読み取れない細部まで確認し、そこに何が描かれているのか、そしてそれは何にもとづいているのか、を明らかにする。第三に、得られた知見をもとにして、新しい戦国時代史を構築する。以上の第一~第三の目的を達成するために、歴史学・文学・美術史学の学際的なアプローチを取り入れる。
第一点目であるが、多数ある戦国軍記のうち、おおむね寛文年間(1660年代)までに成立したものを中心に分析を進めている。戦国軍記といっても一様ではなく、その当時なりに史実を追求したものから、史実よりも面白さを優先させた娯楽作品まで振れ幅が大きい。このうち歴史史料として有用なものは前者である。太田牛一「信長公記」や大村由己「天正記」のほか、関ヶ原合戦に関する「慶長軍記」、大坂の陣に関する「大坂物語」を中心に分析を進めている。
第二点目であるが、コロナ禍でありながら史料所蔵機関の御厚意によって史料調査と画像の収集が進んでいる。源平合戦図の調査点数は多くはなかったが、古態を示すとされている智積院所蔵本や仁和寺本を熟覧・撮影できたことは大きな成果であった。ただ海外の所蔵機関での調査は2021年度も不可能であったのは残念である。
最後の第三点目についてはまだ確たるものが得られてはいないが、第一・第二点が順調に進んでいることから今後有望であろう。歴史学・文学・美術史学による有機的な共同研究を進められている。
第一点目であるが、多数ある戦国軍記のうち、おおむね寛文年間(1660年代)までに成立したものを中心に分析を進めている。戦国軍記といっても一様ではなく、その当時なりに史実を追求したものから、史実よりも面白さを優先させた娯楽作品まで振れ幅が大きい。このうち歴史史料として有用なものは前者である。太田牛一「信長公記」や大村由己「天正記」のほか、関ヶ原合戦に関する「慶長軍記」、大坂の陣に関する「大坂物語」を中心に分析を進めている。
第二点目であるが、コロナ禍でありながら史料所蔵機関の御厚意によって史料調査と画像の収集が進んでいる。源平合戦図の調査点数は多くはなかったが、古態を示すとされている智積院所蔵本や仁和寺本を熟覧・撮影できたことは大きな成果であった。ただ海外の所蔵機関での調査は2021年度も不可能であったのは残念である。
最後の第三点目についてはまだ確たるものが得られてはいないが、第一・第二点が順調に進んでいることから今後有望であろう。歴史学・文学・美術史学による有機的な共同研究を進められている。
- ID情報
-
- 課題番号 : 20H00031
- 体系的課題番号 : JP20H00031
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
2-
『戦国軍記・合戦図の史料学的研究』(令和二~五年度科学研究費補助金基盤研究(A)研究成果報告書、研究代表者堀新) 14-33 2024年2月 招待有り
-
井上泰至編『資料論がひらく軍記・合戦図の世界-理文融合型資料論と史学・文学の交差』勉誠出版 32-47 2021年11月
講演・口頭発表等
5-
総合女性史学会2022年度大会 危機・ジェンダー・表象の歴史学―描く女/描かれる女― 2023年3月19日 招待有り
-
EAJRS年次大会 2022年9月16日
-
第22回「戦国軍記・合戦図の史料学的研究」オンライン研究会 2022年7月24日
-
海の見える杜美術館「平家物語絵」展記念講演会「描かれた平家物語」 2022年5月4日 招待有り
-
第14回「戦国軍記・合戦図の史料学的研究」オンライン研究会 2021年11月21日