2021年3月
HIV陽性者に対する臨床心理学的援助の検討−模擬的カウンセリングを通して
箱庭療法学研究
- 巻
- 33
- 号
- 3
- 開始ページ
- 43
- 終了ページ
- 55
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.11377/sandplay.33.3_43
- 出版者・発行元
- 一般社団法人日本箱庭療法学会
HIVは,身体・心・社会という多次元に関わる病として体験され,セクシャルアイデンティティ・社会的な偏見への恐れ・実存的な苦悩など複雑な心理的テーマを抱えている可能性がある。こうしたHIV陽性者への治療において,心理的支援の役割の大切さについて指摘されてきたが,その効果を実証的に示すことはあまりなされてこなかった。そこで本研究では,HIV陽性の調査協力者に対して,実践により近いカウンセリングを模擬的に体験してもらい,開始前・中盤・終了後で個人に生じた変化について比較し,そこで得られた面接の内容や多面的なアセスメントから,その効果と意義を検証した。効果を多面的・多層的に把握するために,心理的変化に関する質問紙・調査協力者の主観的体験や自己評価・経過の記録を分析の対象とした。その結果,抑うつ・不安の改善や,主訴に対する主観的変化が認められた。また,カウンセリングのプロセスにおいては,対象関係や,関係の喪失を巡るテーマが現れ,そうした心理的課題を心理療法が扱い得る可能性が示された。
- リンク情報
- ID情報
-
- DOI : 10.11377/sandplay.33.3_43
- ISSN : 0916-3662
- eISSN : 2186-117X
- CiNii Articles ID : 130008112146
- CiNii Research ID : 1390008445628180480