2020年4月 - 2023年3月
髄液及び脳からの老廃物の排泄の改善による認知症発症の予防
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
今年度は、微弱な蛍光を超高感度冷却CCDカメラで捉え、定量化できるin vivo イメージングシステム(IVIS)を用いて、蛍光物質の脳からのクリアランスを測定する方法を確立し、脳の排泄機構を明らかにした。正常圧水頭症にアルツハイマー病の病理所見が高頻度に認められることから、両疾患には老廃物質排泄機構の共通する障害が示唆されている。老廃物質の脳からの排泄の障害が、認知症の進行に寄与することが推定されているが、脳内老廃物質排泄機構における上衣線毛運動の寄与については検証されていない。本年度は、線毛運動障害による正常水頭症のモデルマウス(Dnah14ノックアウトマウス)と大脳皮質及び海馬にβアミロイドの過剰蓄積をきたすアルツハイマー病のモデルマウス(APPノックインマウス)を用い、APPノックインマウスの受精卵に、ゲノム編集を用いて、アルツハイマー病理を合併する正常圧水頭症モデルマウスであるDnah14ノックアウト/ APPノックインマウスの作成に成功した。生後16週齢時点において、APPノックインマウスでは大脳皮質及び海馬でのβアミロイドの沈着は僅かであるが、Dnah14ノックアウト/ APPノックインマウスでは、大脳皮質及び海馬での多量のβアミロイドの沈着と学習障害を認めた。このことは、脳室上衣線毛の運動障害がβアミロイド脳からの排泄を障害していることを意味している。上衣線毛運動はアミロイドのみならず他の脳の老廃物の排泄にも関与していると考えられ、認知症の進行に寄与していることが示唆される。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K09355
- 体系的課題番号 : JP20K09355
この研究課題の成果一覧
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講演・口頭発表等
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第39回日本認知症学会学術集会 2020年11月27日
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認知症センター連携懇話会 2019年12月5日 招待有り
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第19回日本正常圧水頭症学会 2018年2月24日