共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

髄液及び脳からの老廃物の排泄の改善による認知症発症の予防

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K09355
体系的課題番号
JP20K09355
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

今年度は、微弱な蛍光を超高感度冷却CCDカメラで捉え、定量化できるin vivo イメージングシステム(IVIS)を用いて、蛍光物質の脳からのクリアランスを測定する方法を確立し、脳の排泄機構を明らかにした。正常圧水頭症にアルツハイマー病の病理所見が高頻度に認められることから、両疾患には老廃物質排泄機構の共通する障害が示唆されている。老廃物質の脳からの排泄の障害が、認知症の進行に寄与することが推定されているが、脳内老廃物質排泄機構における上衣線毛運動の寄与については検証されていない。本年度は、線毛運動障害による正常水頭症のモデルマウス(Dnah14ノックアウトマウス)と大脳皮質及び海馬にβアミロイドの過剰蓄積をきたすアルツハイマー病のモデルマウス(APPノックインマウス)を用い、APPノックインマウスの受精卵に、ゲノム編集を用いて、アルツハイマー病理を合併する正常圧水頭症モデルマウスであるDnah14ノックアウト/ APPノックインマウスの作成に成功した。生後16週齢時点において、APPノックインマウスでは大脳皮質及び海馬でのβアミロイドの沈着は僅かであるが、Dnah14ノックアウト/ APPノックインマウスでは、大脳皮質及び海馬での多量のβアミロイドの沈着と学習障害を認めた。このことは、脳室上衣線毛の運動障害がβアミロイド脳からの排泄を障害していることを意味している。上衣線毛運動はアミロイドのみならず他の脳の老廃物の排泄にも関与していると考えられ、認知症の進行に寄与していることが示唆される。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K09355
ID情報
  • 課題番号 : 20K09355
  • 体系的課題番号 : JP20K09355

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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