2018年4月 - 2022年3月
アミロイド形成タンパク質の多量体化・チャネル形成・神経毒性発現に及ぼす金属の影響
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
脳内金属のホメオスタシス異常がアルツハイマー病(AD)、脳血管性認知症(VD)、プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病、牛海綿状脳症(BSE)など)、レビー小体形認知症(DLB)などの神経疾患の発症に関与していることが判明してきている。AD、プリオン病、DLBでは疾患関連タンパク質(それぞれβアミロイドタンパク質(AβP)、プリオンタンパク質(PrPC)、αシヌクレイン(α-Syn))の異常蓄積と神経毒性とが発症の要因と考えられており、これらのタンパク質(アミロイド形成タンパク質)は金属によって多量体化する。本年度は、アルツハイマー病βアミロイドタンパク質、プリオンタンパク質等のアミロイド形成タンパクについて、その多量体化を解析するためのゲルろ過HPLCシステムの構築を行った。種々の分子量対応のゲルろ過カラムを使い分けることによって、多量体化したアミロイドを定量的に分画するための基礎検討を行い、カラム条件や溶離液の検討を行った。その結果を基に、プリオンタンパク質フラグメントペプチドであるPrP106-126をモデル物質として、種々の金属の共存による多量体形成能を比較した結果、Al、Zn、Mn、Cuそれぞれで主として形成される多量体の分子量が大きく異なっていることが判明した。さらに、多量体化抑制物質であるカルノシンの共存による影響についても検討するとともにそのアナログ(homocarnosine等)のペプチド合成を行うことによって、その定量分析の基礎検討を行った。さらに、これまでの研究結果と関連した亜鉛の神経毒性メカニズムについても引き続き検討を行った。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K06669