論文

査読有り
1998年

Karyotype analysis of the saprophyte Petrosavia sakuraii (Makino) J. J. Smith ex van Steenis and its systematic implications

Acta Phytotax. Geobot.
  • Tamura, M. N
  • ,
  • Takahashi, H

49
1
開始ページ
49
終了ページ
56
記述言語
英語
掲載種別
DOI
10.18942/bunruichiri.KJ00001077368
出版者・発行元
日本植物分類学会

腐生植物のサクライソウ属Petrosaviaはマレーシア,インドシナ,中国南部から日本にかけての熱帯雨林,常緑広葉樹林,落葉広葉樹林,針葉樹植林,竹林などの林床に生育し,互いにほとんど合着しない心皮をもち,しばしば原始的な単子葉類と考えられるが,その類縁は明らかでない。Beccari (1871), Huber (1969), Dahlgren et al. (1985), Thorne (1992)はこの属をシュロソウ科Melanthiaceae(広義のユリ科Liliaceae s. lat.)に含めたが,Deyl (1955), Stant(1970), Cronquist (1970, 1988), Tomlioson (1982), Takhtajan(1997)はこの属を同じく腐生殖物のホンゴウソウ科Triuridaceaeに近縁とした。Hutchinson(1959)はこの属をホロムイソウ科Scheuchzeriaceaeとホンゴウソウ科の中間に位置づけた。本研究ではサクライソウ属の類縁を探るために長野県木曽郡南木曽町柿其と岐阜県可児市久々利に産するサクライソウPetrosavia sakuraiiの体細胞染色体を観察した。その結果,サクライソウは2n=60の四倍体で,間期染色体は球形前染色体型,分裂前期染色体は基部型であった。分裂中期の各染色体の長さの測定値は柿其のもので1.1-3.6μm,久々利のもので1.1-3.0μmであり,サクライソウの染色体は比較的小型であることがわかった。核型は8対の次中部型染色体と22対の中部型染色体からなっていた。広義のシュロソウ科に含まれるキンコウカ科Nartheciaceaeはx=13-16,長さ0.7-3.5μmの体細胞中期染色体をもち,特にチシマゼキショウ群Tofieldia-Pleea-Harperocallis complexの染色体の基本数とサイズはサクライソウのものとほぼ一致している。一方,ホンゴウソウ科はx=11,12,14で比較的大きい染色体をもち,ホンゴウソウ科に近縁なLacandoniaceaeはx=9でやはり大型の染色体をもつので,これらの科の染色体の特徴はサクライソウのものと著しく異なっている。ホロムイソウ科はサクライソウと同じく小型の染色体をもつが,x=11で染色体基本数が異なっている。従って,染色体の特徴からはBeccari(1871)らの「サクライソウ属はシュロソウ科に含められる」とする見解が支持される。

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DOI
https://doi.org/10.18942/bunruichiri.KJ00001077368
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/110003758639
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00118019
URL
http://id.ndl.go.jp/bib/4564633
ID情報
  • DOI : 10.18942/bunruichiri.KJ00001077368
  • ISSN : 0001-6799
  • CiNii Articles ID : 110003758639
  • CiNii Books ID : AN00118019

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