2009年
高緯度北極における非維管束植物の光合成生産におよぼす温度の影響
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
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- 巻
- 2009
- 号
- 0
- 開始ページ
- S0071
- 終了ページ
- S0071
- DOI
- 10.14841/jspp.2009.0.S0071.0
- 出版者・発行元
- 日本植物生理学会
IPCC(2007)の予測によると、今世紀末の地球表面温度の上昇は北極地域が最も著しいとされている。北極陸上生態系には、樹木を欠き、矮性の低木や草本、あるいは蘚苔類や地衣類によって優占されているツンドラ生態系が広がっている。ツンドラ生態系では、維管束植物に比べて非維管束植物の種数は多くなる傾向があり、ある地域では植物の種組成の7割以上を非維管束植物が占めることが知られている。本発表では、寒冷な地においても高い多様性を維持し、ツンドラ生態系の主要な構成要素となっている、非維管束植物の光合成生産におよぼす温度の影響について紹介する。<br>ノルウェー・スピッツベルゲン島、ニーオルスンにある東ブレッガー氷河後退域に優占する、カギハイゴケ、トゲエイランタイ、および藻類や地衣類等から成り、地表面に"かさぶた"状の構造体をつくるバイオロジカルソイルクラスト(以下、クラスト)の光合成特性を調査した。その結果、水分が供給されている際の最大光合成速度は、カギハイゴケ>トゲエイランタイ>クラストとなった。純光合成速度の至適温度は、カギハイゴケが最も高く、トゲエイランタイとクラストは低かった。温度上昇が光合成生産に与える影響を、モデルを用いて推定したところ、いずれの植物も純生産量は減少したが、その度合いは著しく異なり、温度上昇の影響は植物によって異なることが示唆された。
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- DOI : 10.14841/jspp.2009.0.S0071.0
- CiNii Articles ID : 130006993056