2021年4月 - 2025年3月
抗菌元素―生体組織間相互作用に基づいたチタンインプラントの感染制御
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
超高齢社会への突入を契機に退行性変性疾患が急増しており、インプラントデバイスを用いた運動機能再建術が積極的に行われている。これに伴い、術後の細菌感染によって惹起される合併症“人工関節周囲感染(PJI)”が益々深刻化している。PJIは術後3か月以内に発症する早期感染と、術後3か月以上経過後に発症する晩期感染に分類されており、術者・患者によって発症時期が大きく異なる。このため、抗菌効果を経時的に制御することができれば、早期・晩期感染の防止が可能となり、運動機能再建術に伴うすべての細菌感染症を解決することができる。しかし、生体内に埋入したインプラント表面では、体液接触による表面変化、タンパク質・細胞接着による表面変化を伴うため、腐食・劣化等の生体内劣化によってインプラント表面に付与した抗菌効果が減弱・消失してしまうことが懸念される。
そこで本年度に実施した研究では、電気化学的処理によってチタン表面上に銀・銅・亜鉛のいずれかを含有する抗菌性ポーラスチタン酸化物を形成し、生理食塩水中に一定期間浸漬することで当該酸化物の性質変化を詳細に調べた。その結果、生理食塩水中に浸漬することで、抗菌性ポーラスチタン酸化物中の銀・銅・亜鉛の濃度は金属イオン溶出によって減少し、元素特有の化学状態変化を示すことが明らかとなった。これらの抗菌性ポーラスチタン酸化物は非抗菌群と比較して優れた抗菌効果を示したが、生理食塩水浸漬によって元素特有の抗菌効果変化を示した。生理食塩水浸漬後も当該酸化物は非抗菌群と比較して抗菌効果を発現していたが、銀含有酸化物では抗菌効果減弱、銅含有酸化物では抗菌効果維持、亜鉛含有酸化物では抗菌効果向上することが明らかとなった。このため元素種の選定によって、早期・晩期感染の防止に有効な新材料表面の創製が可能であることが示唆された。
そこで本年度に実施した研究では、電気化学的処理によってチタン表面上に銀・銅・亜鉛のいずれかを含有する抗菌性ポーラスチタン酸化物を形成し、生理食塩水中に一定期間浸漬することで当該酸化物の性質変化を詳細に調べた。その結果、生理食塩水中に浸漬することで、抗菌性ポーラスチタン酸化物中の銀・銅・亜鉛の濃度は金属イオン溶出によって減少し、元素特有の化学状態変化を示すことが明らかとなった。これらの抗菌性ポーラスチタン酸化物は非抗菌群と比較して優れた抗菌効果を示したが、生理食塩水浸漬によって元素特有の抗菌効果変化を示した。生理食塩水浸漬後も当該酸化物は非抗菌群と比較して抗菌効果を発現していたが、銀含有酸化物では抗菌効果減弱、銅含有酸化物では抗菌効果維持、亜鉛含有酸化物では抗菌効果向上することが明らかとなった。このため元素種の選定によって、早期・晩期感染の防止に有効な新材料表面の創製が可能であることが示唆された。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K18057
- 体系的課題番号 : JP21K18057