系図史料には横系図と呼ばれるスタイルが見られる.これは長い料紙や冊子の体裁をもった紙媒体に,横方向に系図を連続させるものである.一方で,我々はすでにコンピュータ上で系図を表示するためのプロトタイプソフトウェアを実装してきた.コンピュータでは理論上,メモリ空間の許す限り入力・表示が可能であるとの観点から,世代間の連繋は縦方向に連続させる実装を行ってきた.紙媒体に横系図が存在する以上,コンピュータ上に見た目どおりに表示させたいとの要求があり得る.また,配布資料の作成等の作業経験からも横系図の表示が必要であると考えられる.本研究では,コンピュータ上で横系図を表示する必要性や実装の可能性について議論した.