講演・口頭発表等

国際会議
2015年12月

雲母類粘土鉱物のセシウム吸着特性; 密度汎関数理論分子モデリングによる解析

2015 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (PACIFICHEM 2015)
  • 奥村 雅彦
  • ,
  • 中村 博樹
  • ,
  • 町田 昌彦
  • ,
  • Sassi, M
  • ,
  • Rosso, K

記述言語
英語
会議種別

東京電力福島第一原子力発電所事故により、環境中に放出された放射性セシウムは、今も表層土壌に留まり、福島地域における主な放射線源となっている。これは、放射性セシウムが粘土鉱物に強く吸着するために起こる現象であることが知られているが、なぜ強く吸着するのかは未解明の問題である。我々は、原子レベルの高精度計算法である密度汎関数理論を用いて、スーパーコンピューター上で粘土鉱物とセシウムの相互作用をモデル化し、その謎に迫った。本会議では以下の吸着様態について報告する。放射性セシウムを特によく吸着することが知られている雲母類粘土鉱物における(1)基盤表面サイト、(2)層間サイト、(3)ほつれたエッジサイトにおける特異的吸着を報告する。それぞれ、土壌におけるセシウム吸着について重要な役割を果たすと考えられている吸着サイトである。我々の研究の結果、イオン半径と吸着サイトの大きさとの関係によって吸着の強さが決まることが分かった。一見大きく異なるこれらの吸着サイトにおいて普遍的な吸着機構が働いていることが明らかになった。これらの結果は、今後、除染による除去土壌の減容化に関する技術開発に役立つことが期待される。