2017年9月
風化黒雲母における吸着セシウムの電子状態; 脱離処理の効果
日本原子力学会2017年秋の大会
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- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 開催地
- 札幌
福島第一原子力発電所事故後の高い環境放射線量の主要な要因である放射性セシウム(Cs)は、土壌の中の粘土鉱物に強く吸着されており、粘土鉱物の中でも特に風化黒雲母のCs吸着能が高くかつ吸着Csの脱離が難しいということがわかってきている。風化黒雲母には表面や層間など複数種類のCs吸着サイトが存在し、吸着サイトごとに吸着の強さも異なると予想される。Csの吸着の強さはCsの電子状態に反映されると考えられる。そこで本研究では、風化黒雲母にセシウムを飽和吸着した試料について薬品によるCs脱離処理を施した時のCs電子状態の変化を硬X線光電子分光実験により調べた。実験の結果、脱離しやすい吸着サイトと脱離が困難な吸着サイトのCs電子状態を分離して観測することに成功し、両者はエネルギー位置や酸素の2p軌道とのやりとりの強さなどの点で異なっていることを実験的に明らかにした。