共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年2月 - 2022年3月

希望する終末期の療養場所の社会経済状況による格差とその関連要因に関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 研究活動スタート支援  研究活動スタート支援

課題番号
19K21468
体系的課題番号
JP19K21468
配分額
(総額)
2,730,000円
(直接経費)
2,100,000円
(間接経費)
630,000円

自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることは多くの人の願いであるが、それが叶わない人も少なくない。本研究では、居住地域や個人の社会階層による終末期の療養場所の選択しやすさがどのように異なるか、その実態を明らかにすることを試みている。本年度は、終末期に希望する療養場所や話し合いの状況が、個人の社会経済的状況によりどのように異なるか検討した。
本研究では日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study: JAGES)の横断データを用いた。JAGESは2016年に全国39市町村で要介護認定を受けていない地域在住高齢者約28万人に郵送自記式調査を行った。解析対象は調査対象の1/8にランダムに配布された、療養場所に関する設問が含まれる質問紙に回答した22,258人。目的変数を希望する療養場所の種類およびその話し合いの有無、説明変数を教育歴・所得・かかりつけ医の有無とし、個人をレベル1・居住学区をレベル2としたマルチレベルポワソン回帰分析を行った。
その結果、男女とも、希望する最期の場所の種類は、教育歴や所得階層による差があまりない一方、①教育歴が短いと、自分および家族の希望する最期の場所がわからない ②所得が低いと、希望する最期の場所を人と話し合っていない ③かかりつけ医がいないと、自分の希望する最期の場所がわからない・希望する最期の場所を人と話し合っていない 傾向が観察された。
この結果から、特に社会経済的に不利な立場にある高齢者が終末期の療養場所を日頃から考え・話し合える機会を提供したり、かかりつけ医を持つことをさらに勧めたりすることで、療養場所の選びやすさに関する社会階層間格差が縮小する可能性がある。このような取り組みを通じて、どのような状況におかれた人であっても、最期まで自分らしく生きるための選択をしやすくなることが期待できる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K21468
ID情報
  • 課題番号 : 19K21468
  • 体系的課題番号 : JP19K21468