本研究の目的は、看護系大学の初年次教育の取り組みについて、背景や現状、効果があった内容とその成果、および今後の課題や展望を記述することである。初年次教育を担当する6大学の教員、6名に半構造化インタビュー調査を実施した。その結果、763コードから50サブカテゴリ、14カテゴリが得られた。初年次教育の背景と現状として、6カテゴリ【大学への適応に支援を要する学生】【学生の環境適応に向けたケアの必要性】【大学教育の質的転換への対応】【学生の主体的・能動的な態度醸成を意図】【特別な配慮、個別的な支援を必要とする学生への支援体制づくり】【大学教育の意味に基づいた学生の価値の醸成を意図した働きかけ】が示された。初年次教育の効果として、5カテゴリ【初年次教育の学生への効果】【学生のキャリア形成への効果】【教員への波及効果】【組織への効果】【初年次教育の仕組みへの波及効果】が示された。初年次教育の課題と展望は、3カテゴリ【入学前から卒業までの一貫した学生支援の仕組みの確立の必要性】【より効果的な教育方法の検討】【カリキュラムの質担保の困難】が示された。本研究により、学生の多様化するニーズに応じた初年次教育の取り組みへの示唆が得られた。(著者抄録)