共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2025年3月

消費者の認知バイアスを利用した勧誘手法・契約構造に対する法的規制の検討

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
21K01217
体系的課題番号
JP21K01217
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
3,900,000円
(直接経費)
3,000,000円
(間接経費)
900,000円

本研究は、市場構造の中で消費者を把握するという視点の導入により、(1)市場において匿名性をもったまま割合的に存在する認知バイアスを有した消費者を捕捉し、(2)こうした一部の消費者にのみ有効に働きかけをなすよう設計・構築された業者の勧誘・商品・契約の構造を明らかにし、(3)当該勧誘手法・契約から損失を被る認知バイアスを有した消費者と認知バイアスを持たず当該契約からむしろ便益を被る消費者という二つのグループに及ぼす規制の影響を特定し、損失を被る消費者を保護しつつ、社会的厚生を改善する適正レベルでの法的規制を設計することを目的としているところ、2021年度は、販売信用市場を対象として主に(2)および(3)の論点を検討した。
その過程で、英国の消費者信用市場における、「Rent to own(RTO)」に対する法改正・法設計の議論状況を参照した。その結果、RTOは購入選択権付きレンタルであるところ、英国では、商品を現金一括購入するだけの資金を持たず、かつ、割賦販売等の販売信用(購入代金の分割払い・立替払い)や消費者金融(購入代金分を借金する)による信用供与を得られない低所得者層にとって、これら信用供与に代替する手段として用いられていることが分かった。その上で、英国での問題は、RTOによる消費者の支払い総額が、当該物の一般小売価格の数倍に上るため、あまりに高い信用コストを徴収されているという点にあり、それを改善するために、英国FCAは、消費者が支払う総費用額が、現金一括払いの場合の購入代金の2倍を上回ってはならないという上限規制を設けたことを明らかにした。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K01217
ID情報
  • 課題番号 : 21K01217
  • 体系的課題番号 : JP21K01217