2014年2月18日
大腸菌により生産した6x Histidine‐tag付加ブタ線維芽細胞増殖因子4タンパク質(HispFGF4)による細胞増殖促進機構に関する解析
東北畜産学会報
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- 巻
- 63
- 号
- 3
- 開始ページ
- 38
- 終了ページ
- 43
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 東北畜産学会
マウスの発生において、線維芽細胞増殖因子(FGF)4はFGF受容体(FGFR)2を介して栄養外胚葉の細胞増殖を促進することにより、胎盤形成に直接的に関与する重要な細胞増殖因子である。しかし、ブタの発生におけるFGF4の役割はほとんど報告されていない。最近、我々は、品種が明らかなブタのFGF4遺伝子に由来するタンパク質コード領域の全塩基配列を明らかにした。また、この塩基配列情報を応用して6x Histidine-tagを付加した遺伝子組換え成熟型ブタFGF4(proline31-leucine206、HispFGF4)を大腸菌により生産することに成功し、かつ、HispFGF4は細胞増殖促進活性を示すことを明らかにした。そこで本研究では、遺伝子工学的な改変がなされているHispFGF4は、FGFRの活性化を介して標的細胞に作用するか検討した。ブタ胎仔線維芽細胞株PEF SV40細胞の培養系にHispFGF4とFGFR阻害剤PD173074を同時に添加したところ、PD173074添加量に依存してHispFGF4による細胞増殖促進効果が明確に阻害された。また、PEF SV40細胞においてFGFR2 mRNAが発現していることが示された。すなわち、HispFGF4は、FGFR2に例示されるFGFRの活性化を介してブタに由来する細胞の増殖を促進することが示唆された。また、HispFGF4はマウス胎仔線維芽細胞株Balb/c 3T3細胞の細胞増殖を促進できることも判明した。これらの結果は、HispFGF4はブタにおけるFGF4の作用やその作用機構を解明する上で有用であること、HispFGF4はブタ細胞のみならず、他の哺乳動物種の細胞増殖も促進できることを示す。(著者抄録)
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 1341-626X
- 医中誌Web ID : 2014158936
- J-Global ID : 201402289639863460