

青田 麻未
基本情報
- 所属
- 日本学術振興会特別研究員 成城大学 PD
- 学位
-
博士(文学)(東京大学)
- 連絡先
- mamiaota
gmail.com
- J-GLOBAL ID
- 201501002470555326
- 外部リンク
英米系の環境美学・日常美学に軸足を置きつつ、研究を行っています。
現在の研究題目は「人間環境の批評についての理論構築ーー居住者・観光者の環境美学ーー」です。
たとえば、浅草の街にはたくさんの観光者があふれかえっています。誰もがなんらかの美的な快を求めて、浅草にやってくる。赤色が映える浅草寺や、隅田川とスカイツリーの青のコントラスト。また日本初のバーと言われる神谷バーで飲むデンキブランは、ふつうの飲酒とはちがう特別な経験を与えてくれるかもしれません。観光者の多くは、カメラを携えて、浅草の街を歩いていきます。これに対して、居住者の多くにとって浅草寺は見慣れたもので、わざわざカメラを向けるものではないかもしれません。その代わりに、長年この街のなかを歩き回ることで見つけた、じぶんだけのお気に入りの場所を知っているかもしれない。あるいはただ隅田川を眺めるのではなく、川沿いを走りながら、季節ごとの花々の変化を楽しむかもしれない。
わたしは、同じ環境にいても立場ごとに異なっている美的経験の諸相を捉えたうえで、個々の立場のひとびとが協働してある環境の美的な価値を評価(=批評)していくことがいかにして可能となるのか、そのメカニズムを説明する理論を提示するために研究を行っています。
この研究は、以下の3つの点で重要な研究であるとわたしは考えています
・美学研究として:個々の立場からの美的経験を勘案するというわたしの着眼点は、英米系環境美学のこれまでの展開に対する思想史的研究を通じて獲得されたものです。そのため、この課題を遂行することで、環境美学研究に新たな一手を打つことができます。
・環境倫理との関連:環境の美的価値を多様なひとびとが議論する際のモデルを提示することで、環境に関する意思決定に際しての美的価値の具体的な活かし方を明らかにできます。
・社会への還元:地域芸術祭の資料研究・フィールドワークを通して理論を検証・改訂していくことを通じて、美学と社会のつながりの一例を示すことができます。直接的には地域芸術祭に関係するアーティストやキュレーターあるいは行政関係者に対して、ひいては芸術祭に限らず地域おこしと呼ばれる取り組みに関心を寄せるひとびとに対して、環境の美的な側面を評価する際の考え方や方法論を提供することが期待できます。
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現在の研究は、環境の批評、つまりすでにそこにある環境をどのように鑑賞するのかを明らかにすることに焦点を当てています。将来的には、我々はいかにして環境を制作するのかという問いのもと、「場所づくり(place-making)」をキーワードにした研究プロジェクトを展開する計画を持っています。アーティストに限らず我々は誰でも、ある場所に物理的な変更を加えたり、あるいは語りのなかで新たなイメージを付与したりといったかたちで場所づくりに参与しているという想定のもと、この活動の多様な可能性について哲学的に考察することを目指します。
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そのほかに、次のような研究課題を遂行したいと考えています。
・エコロジーをキーワードとする比較環境美学の試み
・環境アートとしてのいけばなの可能性の検討
・アイドルのパフォーマンスにおける「歌割り」の持つ美学的意義の解明
・J. Deweyの美学の日常美学への応用の妥当性の検証
研究分野
1経歴
9-
2020年9月 - 現在
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2019年4月 - 現在
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2018年4月 - 現在
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2018年4月 - 現在
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2019年4月 - 2020年8月
学歴
4-
2014年4月 - 2017年3月
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2012年4月 - 2014年3月
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2010年4月 - 2012年3月
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2008年4月 - 2010年3月
委員歴
4-
2020年6月 - 現在
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2020年5月 - 現在
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2018年 - 現在
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2014年9月 - 2016年9月
論文
16-
ユリイカ2020年9月号「女オタクの現在ーー推しとわたし」 266 - 274 2020年8月 招待有り
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フィルカル 5(1) 126 - 159 2020年5月
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現代思想 48(3) 144 - 153 2020年2月 招待有り
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美学 70(2) 1 - 12 2019年12月 査読有り
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ユリイカ2019年11月臨時増刊号 総特集=日本の男性アイドル 115 - 123 2019年10月 招待有り
MISC
11-
フィルカル 5(3) 246 - 255 2020年12月
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SYNODOS 2020年10月
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フィルカル 5(2) 350 - 359 2020年8月
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フィルカル 4(3) 334 - 345 2019年12月 招待有り
書籍等出版物
3-
丸善出版 2020年12月 (ISBN: 9784621305423)
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春風社 2020年8月 (ISBN: 9784861106989)
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勉誠出版 2017年6月
講演・口頭発表等
24-
武庫川女子大学生活美学研究所 生活美学基礎理論研究会 2020年8月1日 招待有り
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ART RESEARCH ONLINE 2020年6月28日 招待有り
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哲学オンラインセミナー 2020年5月23日
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a guest lecture at Aalto University 2020年2月26日 招待有り
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第70回美学会全国大会(台風による大会中止に伴う振替発表) 2019年12月14日
担当経験のある科目(授業)
8共同研究・競争的資金等の研究課題
4-
日本学術振興会 特別研究員奨励費(PD)
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サントリー文化財団 若手研究者のためのチャレンジ研究助成
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日本学術振興会 特別研究員奨励費(DC1)
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東京大学 2019年度学術成果刊行助成