基本情報

所属
群馬県立女子大学 文学部 美学美術史学科 講師
学位
博士(文学)(東京大学)

J-GLOBAL ID
201501002470555326
researchmap会員ID
B000249377

外部リンク

英米系環境美学・日常美学の研究を行っています。特にこれまでは、すでにそこにあるさまざまな環境を私たちはどのように美的に鑑賞しているのかということを理論的に説明すること、その際に、観光者・居住者といった立場の違いの鑑賞経験への影響を明らかにすることを目的として研究を行ってきました。その成果は、『環境を批評する 英米系環境美学の展開』(春風社、2020年)として出版されています。

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現在は、大きく分けて以下の3つの関心にもとづいて研究を行っています。

(1)制作論としての「都市美学(urban aesthetics)」

これまでの研究では、環境の美的鑑賞の問題に焦点を絞ってきました。しかし、環境は私たち自身がつくっていくものでもあります。特に、都市は典型的な私たちのつくる環境であり、また多くの環境問題に関わるという点でその姿が見直されるべきものでもあります。2020年代に入り、海外においても「都市美学(urban aesthetics)」という分野が盛り上がりを見せていますが、東アジアの視点からの研究は不足しているのが現状と言えます。

私たちはいかにして自分たちの住む都市をつくっていくのか、私たちはだれ/なにとともに都市をつくっているのか、そして、私たち自身はいかにして自分たちの住む都市によってつくられていくのかーー環境美学のフレームワークを拡張し、同時に、建築論や都市計画論、倫理学といった分野と協働しながら、これらの問いに答えていくことを目指しています。

(2)日常美学とジョン・デューイ

2000年代以降、芸術作品や大自然ではなく、日常的な事物や出来事・活動がもたらす美的経験について、日常美学という分野では活発な議論がされています。伝統的な美学、すなわち日常と芸術とを切り離し後者にこそ美的なものについて語る意味があるとする立場に日常美学者が反論しようとする際、よく言及されるのがジョン・デューイの『経験としての芸術』における議論です。彼は、芸術と日常とのつながりを主張したとされているからです。

しかし、デューイの著作そのものをつぶさに検討し、彼の議論から引き出される美的経験論が日常美学に対してどのような発展可能性(あるいは発展を阻害する可能性)があるのかについては、真剣に検討されてきているとは言えません。デューイのテクストそのものに立ち返り、現代の日常美学の議論と突き合わせることで、いまだに繰り返される「日常美学は本当に「美学」の問題を論じているのか」という疑念に応えていくことを目指します。

(3)小原豊雲の美学

いけばな小原流三代目家元・小原豊雲(1908-1995)の活動と、そこに通底する美学的思考を明らかにすることに関心を持っています。いけばなは日本の伝統芸能とされながら、20世紀初頭以降、西洋の芸術との出会いによって芸術の一種であろうとしてもきたという経緯を持ちます。豊雲は小原流の三代目としてその伝統を継ぎ流派を切り盛りしていくという職務を担いながら、同時に自身が関心を抱いていたシュルレアリスムなどの西洋芸術の表現、あるいは南洋の植物の使用など、「日本とアジア」「日本と西洋」「芸能と芸術」などさまざまな二項対立のはざまにいた人物であると考えられます。彼の活動を追いながら、いけばなの美学の可能性のひとつを切り開くことができればと思っています。

 

このほか、環境美学の観点からの地域芸術祭に対する批評アイドル(とそのパフォーマンス)批評も関心のある領域です。

また現在、日常美学の入門書となる書籍を執筆中です。


書籍等出版物

  6

論文

  21

MISC

  23

講演・口頭発表等

  41

委員歴

  8

担当経験のある科目(授業)

  19

共同研究・競争的資金等の研究課題

  7