観測キャンペーンSEEK (Sporadic-E Experiment over Kyushu)は, ロケットを用いた直接観測と地上のレーダーおよび光学観測装置を組み合わせた, 中緯度域のスポラディックE層とそれに伴う電離圏沿磁力線イレギュラリティの総合観測である。SEEKでは, 1996年8月21日0時30分と26日23時0分(どちらもJST)に内之浦からそれぞれ観測ロケットS-310-26号機と25号機を打上げて, 電子密度, 電界, 中性大気風速の直接観測を実施するとともに, 地上では種子島に設置された可搬型レーダーや内之浦を始めとする計4ヶ所で実施された大気光イメージング装置によってそれぞれ電離圏イレギュラリティと大気重力波の観測を成功裡に実施した。観測ロケットは2機とも, 地上のレーダー観測からリアルタイム・モニターされた電離圏イレギュラリティの増大にあわせて打上げられ, スポラディックE層が大気風速の非常に強いシアで発生すること, 電離圏イレギュラリティに伴う分極電界が5∿10mV/mと非常に強いことなどが明らかにされた。