2003年
再帰性発話と反響言語の合併について―症例報告―
高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
- ,
- 巻
- 23
- 号
- 4
- 開始ページ
- 281
- 終了ページ
- 288
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.2496/hbfr.23.281
- 出版者・発行元
- 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
再帰性発話と反響言語が合併した失語例を報告した。この症例は「ナカナカ」という語を中心とした常同的発話を産生した。この「ナカナカ」には,「ナカナカブイ」,「ナカナカナイト」のように語尾に付加語が付く程度の変形が観察された。われわれはこの現象を再帰性発話の概念で理解し,その経過における「浮動的段階」 (Alajouanine 1956) に相当すると考えた。さらにこの「ナカナカ」は文法的機能語を伴うこともあり,半常同性発話 (Hadanoら 1997) の症状に類似するものと思われた。反響言語は主として会話場面で出現し,形式としては減弱型または完全型であった。本例の失語型は従来の Wernicke (1874) -Lichtheim (1885) から Geschwind (1965) に至る古典論的な失語分類では位置づけが困難であると思われた。とくに,異なる種の反復性言語行動または自動言語が合併した症例として,これまでに報告例の少ない貴重な症例と思われた。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.2496/hbfr.23.281
- ISSN : 1348-4818
- CiNii Articles ID : 130004467511
- CiNii Books ID : AA1182424X