2012年3月
自閉症スペクトラム児の摂食機能の検討
日本小児歯科学雑誌
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- 巻
- 50
- 号
- 1
- 開始ページ
- 36
- 終了ページ
- 42
自閉症スペクトラム(以下ASD)児の摂食状況の調査と摂食・嚥下機能の評価を行い、療育場面および家庭における食事の問題に対する効果的な医療的支援方法を検討することを目的に本研究を行った。地域療育センター摂食・嚥下外来を受診したASD25名を対象に、主訴、摂食・嚥下機能評価、指導内容と経過等の検討を行った。主訴は偏食、丸飲み、溜め込みが多く、年齢により差がみられた。低年齢では口腔機能の未熟さや食具操作の未熟さが食べ方の問題として表出し、高年齢ではASDのこだわりなどの特性が偏食として問題になったものと思われる。一方、主訴と摂食・嚥下機能の問題が一致しないケースもみられ、保護者が小児の摂食・嚥下機能を正しく理解していない様子も窺われた。また、食べ方が口腔機能に影響を与えている様子が窺われ、ASDの食事の問題に対応するにあたっては、摂食・嚥下機能評価を行い、それに基づき支援方法を検討する必要性が示唆された。指導が継続しているケースは発達レベルが低く、自閉症の特性が強い傾向があり、全体的な発達を促す対応が重要と思われた。