2019年4月 - 2022年3月
化学物質の空間分布情報をセンシングする光ファイバシステムの構築
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
安全な水素社会の確立には、水素インフラの高度な維持管理技術が必要である。本研究では、空間的に広い範囲を容易かつ低コストでモニタリング可能な新しい水素漏洩監視システムを実現するために、光ファイバ自体を水素感応膜で修飾したライン型水素センサを開発することを目的とした。2019年度は、これまで研究代表者が培ってきた白金担持酸化タングステン及び白金担持シリカ膜作製技術を土台とし、その高度化・実適用性向上を目指して研究を行い、以下のような成果を得た。
水素との反応による白金担持酸化タングステン膜の光学特性変化を、190 nmから2700 nmまでの広い波長範囲で定量化した結果、光通信で一般的に使用される近赤外波長において十分な感度特性を有することが明らかとなった。触媒比率などを変化させ感度特性を調べるとともに透過型電子顕微鏡観察によって白金触媒の分散状態を確認することができた。エバネッセント波吸収型のセンサデバイスを実現するためには、光ファイバに沿って、そのコア上に水素感応膜を連続的に固定化する必要がある。そこで、石英コアにフロロアクリレートクラッドが被覆された光ファイバを選択し、熱分解や溶剤によるクラッド除去を試みた。その結果、エタノールアミンを用いることでクラッドを容易に除去できることが分かった。次に、水素感応膜を石英コア部に固定化した検出長50cmののセンサデバイスを試作したところ、光損失が約3 dBで、1 vol.%の水素に対しても良好な応答特性が得られた。さらに、シリカ膜をセンサデバイスに積層した結果。水素応答性には大きな影響を及ぼさずセンサ保護被覆として有望であることが分かった。
グレーティング型センサについては、水素の接触燃焼反応による大きな反応熱を発生させることができる白金担持タングステン膜及びシリカ膜の発熱挙動を赤外線サーモグラフィーを用いて観察することに成功した。
水素との反応による白金担持酸化タングステン膜の光学特性変化を、190 nmから2700 nmまでの広い波長範囲で定量化した結果、光通信で一般的に使用される近赤外波長において十分な感度特性を有することが明らかとなった。触媒比率などを変化させ感度特性を調べるとともに透過型電子顕微鏡観察によって白金触媒の分散状態を確認することができた。エバネッセント波吸収型のセンサデバイスを実現するためには、光ファイバに沿って、そのコア上に水素感応膜を連続的に固定化する必要がある。そこで、石英コアにフロロアクリレートクラッドが被覆された光ファイバを選択し、熱分解や溶剤によるクラッド除去を試みた。その結果、エタノールアミンを用いることでクラッドを容易に除去できることが分かった。次に、水素感応膜を石英コア部に固定化した検出長50cmののセンサデバイスを試作したところ、光損失が約3 dBで、1 vol.%の水素に対しても良好な応答特性が得られた。さらに、シリカ膜をセンサデバイスに積層した結果。水素応答性には大きな影響を及ぼさずセンサ保護被覆として有望であることが分かった。
グレーティング型センサについては、水素の接触燃焼反応による大きな反応熱を発生させることができる白金担持タングステン膜及びシリカ膜の発熱挙動を赤外線サーモグラフィーを用いて観察することに成功した。
- ID情報
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- 課題番号 : 19H02388
- 体系的課題番号 : JP19H02388