2006年4月
巨大陰性T波の変化を伴った心筋浸潤非ホジキンリンパ腫の1例
心臓
- 巻
- 38
- 号
- 4
- 開始ページ
- 382
- 終了ページ
- 386
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.11281/shinzo1969.38.4_382
- 出版者・発行元
- (公財)日本心臓財団
症例は29歳,男性.2001年に骨原発の非ホジキンリンパ腫と診断され,大量化学療法,放射線療法で寛解に入っていた.2003年11月,非ホジキンリンパ腫再発のため入院となった.2004年3月,左室心尖部にガリウムシンチグラフィで集積像を指摘され,リンパ腫の心筋への浸潤が疑われた.心筋MRI,心エコー図では,心尖部の壁肥厚が出現し,同時期の心電図で胸部誘導V3〜6において巨大陰性T波を認めた.化学療法により心筋MRI,心エコー図では心尖部病変の退縮を,ガリウムシンチグラフィでは同部位の取り込み減少を来し,心電図においてT波はほぼ正常化した.その後,心尖部病変の再増大,縮小とともに心電図上,陰性T波の出現,消失を繰り返した.非ホジキンリンパ腫の心尖部浸潤により,特異な心電図経過を示した1例を経験した.心疾患におけるST-T変化の成因については不明な点も多い.本症例では腫瘍細胞の浸潤により,心筋局所で興奮伝導遅延あるいは活動電位持続時間延長が起こり,巨大陰性T波が形成されたものと推察された(著者抄録)
- ID情報
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- DOI : 10.11281/shinzo1969.38.4_382
- ISSN : 0586-4488
- 医中誌Web ID : 2006148862