論文

2022年10月

院内における医療機器と電線ラインに係わるアクシデント・インシデント調査

医療の質・安全学会誌
  • 田中 顯
  • ,
  • 吉光 喜太郎
  • ,
  • 山口 智子
  • ,
  • 正宗 賢
  • ,
  • 村垣 義浩

17
4
開始ページ
399
終了ページ
406
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(一社)医療の質・安全学会

目的:医療機器からの各種ラインは増加傾向にあり,それに伴う医療アクシデント・インシデント(以下A/Iと記す)も増加している.効果的な対策の一つは物理的にラインをなくすことであり,電線ラインのワイヤレス化がA/I抑制に貢献できると我々は予測した.しかし電線ラインのA/Iについて詳細な調査は渉猟しえた限り見当たらない.そこで今回我々は医療現場の電線ラインにおけるA/Iの原因や現状対策を調査した.方法:事例調査は日本医療評価機構ホームページ医療事故情報収集等事業の事例検索から行った.次に検索結果の内容を発生場所,医療機器,電線の部位に分類し,A/I発生件数の分布形態とその理由を検討した.そして発生状況とその原因を考察した.結果:2010~2019年における調査結果,事例検索可能なものは104,659件,そのうち電線ラインに係わる検索結果は401件であった.A/I発生場所は,病室が34%(135件)と最も多く,手術室が27%(109件),ICU12%(49件)と続き,3ヶ所合計で73%であった.医療機器別では118機種と多くに分散していた.発生部位別では,「機器-電源」を繋ぐ電源ラインが182件(45%)と最も多かった.A/Iの発生状況は「不通電」「抜け」が多く,その原因は,「接続忘れ」「取り違い」など,66%がヒューマンエラーであった.その対策として92%が教育・周知や手順書見直しなど"人力による対策"であった.結論:効果的な対策の一つはライン数を減らすことであり,電線ラインのワイヤレス化もA/I抑制の一助になると考えられた.(著者抄録)

リンク情報
URL
https://search.jamas.or.jp/default/link?pub_year=2022&ichushi_jid=J04895&link_issn=&doc_id=20221116420002&doc_link_id=10.11397%2Fjsqsh.17.399&url=https%3A%2F%2Fdoi.org%2F10.11397%2Fjsqsh.17.399&type=J-STAGE&icon=https%3A%2F%2Fjk04.jamas.or.jp%2Ficon%2F00007_2.gif
ID情報
  • ISSN : 1881-3658
  • eISSN : 1882-3254
  • 医中誌Web ID : WB16420002

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