MISC

2021年1月

遺伝性乳癌卵巣癌に対する新しい分子標的薬とリスク低減手術

新潟県医師会報
  • 関根 正幸
  • ,
  • 西野 幸治
  • ,
  • 山口 雅幸
  • ,
  • 榎本 隆之

850
開始ページ
12
終了ページ
17
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
新潟県医師会

新しい分子標的薬であるPARP阻害薬は、生殖細胞系列のBRCA1/2遺伝子変異を原因とする遺伝性乳癌卵巣癌(Hereditary Breast and Ovarian Cancer:HBOC)患者に高い感受性を示すことから多くの臨床試験が行われた結果、今では臓器横断的に相同組換え修復異常(homologous recombination deficiency:HRD)を示す癌に対して臨床現場で普及し始めている。再発卵巣癌治療では、PARP阻害薬オラパリブの感受性を予測する臨床的な感受性サロゲートマーカーとしてプラチナ感受性が用いられ、卵巣癌の初回治療ではBRCA1/2遺伝子検査がコンパニオン診断として保険適応となっている。さらに、HBOCの乳癌あるいは卵巣癌患者に対する予防診療が2020年4月より保険収載された。上記の保険承認により婦人科癌の治療が一気に変化しつつある。本稿ではHBOCをターゲットにしたゲノム医療の進展と、ゲノム情報に基づく先制医療の現状と展望について概説する。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0912-2796
  • 医中誌Web ID : 2021145049

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