共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2020年3月

混合溶媒中におけるハイブリッド触媒反応の分子論的機構解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
18H04657
体系的課題番号
JP18H04657
配分額
(総額)
8,190,000円
(直接経費)
6,300,000円
(間接経費)
1,890,000円

本研究の目的は、水を添加すると大幅に反応性が向上するハイブリッド触媒反応の分子論的機構を理論計算により明らかにすることである。
本年度は、有光暁助教(琉球大)らにより開発されたハイブリッド触媒反応における水の影響を解析した。この反応は、アミン触媒と酸触媒により従来はγ-位に付加しやすいα,β-不飽和アルデヒドのα-位を立体選択的にフッ素化するが、水を少量添加すると反応性が向上する。しかし一方、水を過剰に添加すると鏡像体過剰率が低下する。この反応の分子レベルでのメカニズムを解明するために、量子化学計算と分子性液体の統計力学理論のハイブリッド計算手法である3D-RISM-SCF法を用いて、有機溶媒と水の様々な混合比での遷移状態の活性化エネルギーを計算した。
得られた計算結果から、水の混合比が増えると、活性化エネルギーが減少することや、主生成物と副生成物の活性化エネルギーの差が小さくなることが明らかになった。これらの計算結果は、実験結果とよく一致する。また詳細な解析の結果、水が増加するにつれて活性化エネルギーが減少するのは、水が相対的に反応物を不安定化させるためと分かった。さらに、水の増加により主生成物と副生成物の活性化エネルギーの差が小さくなるのは、副生成物の遷移状態の方が酸触媒と水が強く相互作用するためと明らかになった。現在、論文を投稿する準備を進めている。
また、林雄二郎教授(東北大)と山中正浩教授(立教大)と共同で、水の添加量により立体選択性が反転する不斉マイケル反応の解析も進めている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-18H04657
ID情報
  • 課題番号 : 18H04657
  • 体系的課題番号 : JP18H04657