共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年7月 - 2026年3月

ナノ超構造がもたらす熱・スピン機能変革

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(S)  基盤研究(S)
  • 研究代表者: 水口 将輝

課題番号
21H05016
体系的課題番号
JP21H05016
配分額
(総額)
193,570,000円
(直接経費)
148,900,000円
(間接経費)
44,670,000円

本研究の目的は、ナノスケールの磁性ナノ超構造を基軸とし、熱とスピンの相関現象に係る革新的な物理を解明しその機能を極限まで引き出すことである。今年度は、Co母相にGe粒子をナノスケールで分散させたグラニュラー構造が異常ネルンスト効果に与える影響を調べた。また、ナノ構造の画像の特徴量と物性の相関を主成分分析によって調べ、機械学習からの特性向上を狙うアプローチについても考察した。その結果、Co薄膜と比較して、Co-Ge薄膜の異常ネルンスト係数が増大することを確認した。観測された異常ネルンスト効果の増大には、縦ゼーベック効果と異常ホール効果の両者からの寄与があることが明らかになった。また、強磁性材料であるCoFeBの上に 強誘電体であるHfOをブロックレイヤーとして積層した材料を用いて、電気二重層による電界効果の実験を行った。その結果、電気二重層の形成に伴って、HfO中の酸素の移動が起き、磁性材料の酸化還元が電圧によって制御できることが明らかになった。磁性体中の熱電効果について、理論的研究も進めた。磁性体中の集団励起であるマグノンによって駆動される電流について数値シミュレーションを用いた解析を行った。その結果、磁化構造がある場合の熱電効果について、温度勾配に対して垂直方向に流れる異常ネルンスト電流を計算することに成功した。系にスカーミオン構造がある場合、磁気スカーミオンの個数によって異常ネルンスト電流が増大することも分かった。さらに、熱・スピン機能変革のための計測とマテリアルズインフォマティクスとを組み合わせることにより、スピンを有する物質の角度分解光電子分光実験を飛躍的に効率化することに成功した。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-21H05016/21H05016_saitaku_shoken_ja.pdf
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21H05016
ID情報
  • 課題番号 : 21H05016
  • 体系的課題番号 : JP21H05016