Works(作品等)

2018年2月3日

ワークショップ「Intersection I:地域・歴史・アートの狭間で」

  • Project Intersection

作品分類
芸術活動
発表場所
クリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地)内Black Chamber

歴史学・地域・アートを分野横断的に考えるシンポジウム。シリーズ第一弾。学者・アーティストが共同で、大阪臨海地区のジェントリフィケーションとアートの関係について、討議及びツアーパフォーマンスを実施した。

パネリスト:藤井光(アーティスト)、原田裕規(美術家)、飯山由貴(アーティスト)、上崎千(芸術学)
モデレーター:小森真樹(ミュージアム研究)、牧田義也(歴史学)

【企画趣旨】
大阪港湾地域では近年、文化芸術活動を通じた地域活性化の動きが加速しています。工場施設跡地や空き家を制作・創造活動のために提供し、アートを中心に据えて地域を活性化する構想が提唱され、港湾地域を文化芸術の活動拠点へと変貌させる試みが続いてきました。しかし、文化芸術活動を通じて地域の「魅力」向上を目指すこれらの活動の背後で、忘却の淵に沈んだ地域の記憶はないでしょうか。本企画は、大阪港湾地域の歴史と記憶をめぐる議論を出発点として、地域の公的記憶から排除された者たちの存在を、芸術創造の中に回復する方途を模索します。
20世紀前半、鉄鋼・造船業を中心に発展した大阪港湾地域には、帝国日本の植民地統治と連動して多様な人々が流入しました。本企画は、大阪港湾地域に移入したさまざまな人々の越境経験に着目し、国境を越えた人の移動に付随する支配と暴力の様態を、歴史調査によって炙り出します。そして、地域社会の周縁を生きた人々の記録に依拠することで、地域に関する既存の集合的記憶を撹乱・更新・再編するような芸術創造の可能性を探究します。このように、地域の主流派住民が構築した公的記憶を追認するのではなく、むしろ地域の外縁から公的記憶の基盤を揺るがす芸術創造の可能性を提示することで、本企画は地域とアートの関係性をめぐる新たな方向性を展望します。
近年、多くのアートプロジェクトにおいて創造活動と地域社会の「つながり」が重視され、地域の歴史を参照した「地域アート」や「記憶アート」が数多く生み出されています。しかし、公的記憶がはらむ排他性について、地域・歴史・アートの関係性に着目して原理的な問題提起を行った事例は必ずしも多くありません。本企画では、地域の記憶とアート制作の予定調和を切り崩し、地域社会の安定的な自己認識を動揺させることで、社会の現状を批判的に捉え直す契機となるような芸術創造の新たな方向性を模索します。苛烈な植民地主義の影を落とす過去と、先進的な創造活動支援を行う現在、という特異な二面性を有する大阪港湾地域は、このような芸術創造の可能性を拡張するための起点となりえるでしょう。
ワークショップ「Intersection I:地域・歴史・アートの狭間で」は、地域・歴史・アートが交差する地点に照準を合わせて、記憶と記録をめぐる芸術創造の射程を拡張します。
【主催】
Project Intersection実行委員会(共同代表:牧田義也・小森真樹)
「歴史と記憶」研究会
立命館大学政策科学部牧田ゼミ

リンク情報
URL
https://www.facebook.com/events/1492978994143474/?ref=110