MISC

2012年

食品認識の学習を位置付けることによる学習効果の検討:「味わい」を感じる五感に着目して

日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
  • 佐藤 雅子
  • ,
  • 石井 克枝

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2
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2
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.11549/jhee.55.0.2.0
出版者・発行元
日本家庭科教育学会

【目的】<br> 小学校学習指導要領では栄養的特徴の理解や調理上の性質の中で食品を扱うことになっている。本研究では,小学生の食品認知度が低くなっている実態より,食品認識の学習を位置付けることとした。食品認識とは,食べている食品の特徴を知り,その特徴ごとに分類できることが分かり,およそ分類できることとする。これにより,1つの食品をゆでて終わるのではなく応用の効く「ゆでる」調理学習になったり,食品の体内での働きの理解に役立ったりすると考え,本主題を設定した。<br>【方法】<br> 千葉県内小学校5年生119名を対象に,2011年6月から2012年2月にかけて,家庭科の授業で実施した。食の学習の初めに,モノを味わう際の五感を自覚する学習1)を行い,その後「食品をいろいろな分け方で分けてみよう」という食品認識の学習を2時間行った。そして,「ゆで方をマスターしよう」5時間,「おいしいご飯とみそ汁を作ろう」8時間,「どんな食品を食べているのだろう」2時間の学習の際に食品の特徴を意識させた。事前と事後で「食品,調理に関する意識」について質問紙にて調査し,それらを分析の資料とした。<br>【結果】<br>1.モノを捉える感覚を自覚させる学習:フランスの「味覚教育」を参考に「五感を使って味わう」感覚を意識させる「味覚体験」学習を行った。これにより,モノを捉える際の視覚や嗅覚等の五感を意識・活用するようになった。<br>2.食品を認識する学習:教師が用意した食品を様々な観点で仲間分けする活動を2回行った。1回目は食べているモノが多種多様であることを捉える活動とした。児童は五感を駆使して観察し,動植物や皮(殻)の有無等食品の様々な特徴に気付いた。2回目は植物のみの仲間分けとした。児童は,食べている植物が緑色でやわらかい「葉」という部位でまとめられることや土の中にある根など植物の部位で捉えることができた。また,食べている植物には種子もあることに気付き,硬く籾殻で覆われている稲の種子の飯への変化に疑問をもつ児童も見られた。<br>3.葉菜類を「ゆでる」調理学習:初めに,使用するほうれん草が緑色でやわらかいという特徴をもつことから葉であることを確認した。そして,児童がほうれん草を一人調理でゆで,葉菜類のゆで方を理解した。次に小松菜やキャベツなどの葉菜類をゆでて一人1品作る調理を行った。児童は小松菜やキャベツがその特徴から葉菜類に分類されるコトが分かり,迷いなくゆで,おいしいおひたしや和え物を作れた達成感を得ていた。食品認識の学習を最初に位置付けたことで,ほうれん草をゆでる学習を通して,「沸騰した湯で短時間ゆでる」という調理の要点を,葉菜類をゆでる調理の要点として理解することができたと考える。<br>4.種子の米を飯にする炊飯学習:食品認識の学習時に米が種子であることを認識していたため,米の飯への変化を解決するための炊飯学習となった。種子から飯への変化としての炊飯を捉えた児童もおり,米に対する水の量や加熱の仕方などにより注目することができた。<br>5.飯の体内での働きと関連させる:炊飯によって米が飯に「変身」することを実感した児童に,飯のその後の「変身」について五感を活用して観察させ,飯が体内に入った後のことを考える学習を行った。飯を口中で唾液と混ぜ合わせて咀嚼することで再び「変身」することを児童は実感を伴って気付いていった。そして「2度変身した」飯のその後,すなわち飲み込んだ後については,よく分からないことを自覚した。そして,体内に入った飯が,形がなくなり心臓などの筋肉を動かすエネルギーになることから,飯を毎日食べていることの理由を理解していくこととなった。また,毎日毎食食べている主食の意味を考えることにもつながった。食品認識の学習を位置付け,それぞれの食の学習と関連させたことは,「何を食べているのか」について,児童が食品・調理・栄養という視点を関連付けて考えられるようにするのに効果があったのではないかと考える。<br>1)佐藤雅子.(2009).「味覚教育」を取り入れた調理技能習得の授業づくり.日本家庭科教育学会誌,51(4),310-314.

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.11549/jhee.55.0.2.0
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130005021467
ID情報
  • DOI : 10.11549/jhee.55.0.2.0
  • CiNii Articles ID : 130005021467

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