講演・口頭発表等

2016年

Sulfur K-edge XANES解析で見る土壌生成年代21~1400年の火山灰土に含まれるイオウ化合物の形態バリエーション

日本森林学会大会発表データベース
  • 谷川 東子
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  • 橋本 洋平
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  • 山口 紀子
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  • 高橋 正通
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  • 吉永 秀一郎

記述言語
日本語
会議種別

イオウは生物の必須元素であるが、森林生態系における挙動には不明な点が多い。クロノシーケンスによる土壌炭素の貯留速度の研究が進む中、イオウの蓄積速度を推定した研究は海外に1例だけである。今回、テフロクロノロジーに基づく火山灰土におけるイオウ蓄積速度の推定を行い、S K-edge XANESによりイオウの形態遷移を調べた。 その結果、炭素では初期の速い蓄積の後、積算年数が長くなるとその速度が低下するのに対し、イオウについては気候が温暖な完新世(1万年)の間、ほぼ一定の蓄積速度を維持していた。また火山から離れた場所で生成した土壌では、炭素/イオウ比は一定の規則性が見られたが、年代が若く火山に近い場所で生成した土壌は炭素/イオウ比が高くその規則性に則らなかった。このことは、火山近くの若い土壌では生物による利用を経ずに貯留しているイオウ、つまり火山ガス、火山灰、軽石など噴出物に由来するイオウが多く含まれるのではないかと考えられた。一方、火山より遠く堆積年数の長い土壌では、微生物の代謝により生成したとみられる中間型および酸化型のイオウが多く、堆積年数の経過とともに生物利用を経て変化した形態が蓄積すると考えられた。

リンク情報
URL
http://ci.nii.ac.jp/naid/130005167110