2020年4月 - 2023年3月
船舶搭載GNSSによる東シナ海水蒸気,波浪,海面高度の観測
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
研究初年度にあたる2020年度は、研究計画に則り①船舶搭載GNSSによる水蒸気解析の最適化に関する検討、②測位誤差と水蒸気誤差の関連考察及び潮汐モデルを用いた水蒸気解析誤差改善の可能性検討、③GNSSアンテナの傾きが解析に与える影響を評価するため、慣性計測装置(IMU)を購入し、機器操作の習熟、④低コスト小型GNSS装置による水蒸気解析試験、⑤準天頂衛星から配信されるリアルタイム軌道情報MADOCA(Multi-GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysis)を用いた海洋上での水蒸気、波浪、海面高度のリアルタイム解析実験を行った。
①に関して,船舶に搭載したGNSS装置による水蒸気解析について,長時間のデータを用いた解析が必ずしも良い精度をもたらさず,概ね1時間半程度の観測データを用いた解析が,高層ゾンデ観測や数値予報客観解析と比較して最も一致度が高くなることがわかった.GNSS解析において理論的には,波数不確定と呼ばれる解析開始時に測位衛星と受信装置の間に含まれる波数が測位誤差を持たらし,時間方向に前方解析を行うことによって,初期時刻の波数の確度が向上することにより,測位解とともに水蒸気解析精度も向上する.今回得られた結果は,反射波の卓越や,アンテナの姿勢変化による位相中心変動の特性が時間変化すること等が原因で,時間方向に相関するノイズの存在を示唆している.この結果は,令和2年度3次補正予算による措置として気象庁が取り組む「線状降水帯の予測精度向上のための気象観測・監視の強化」における気象庁観測船等への船舶GNSS観測の追加施策に採用された.
②に関して,測位誤差とGNSS解析による可降水量の誤差が,逆比例の関係にあることを見出した.さらに潮汐モデルによる海面高を用いた補正の可能性を検討した.
①に関して,船舶に搭載したGNSS装置による水蒸気解析について,長時間のデータを用いた解析が必ずしも良い精度をもたらさず,概ね1時間半程度の観測データを用いた解析が,高層ゾンデ観測や数値予報客観解析と比較して最も一致度が高くなることがわかった.GNSS解析において理論的には,波数不確定と呼ばれる解析開始時に測位衛星と受信装置の間に含まれる波数が測位誤差を持たらし,時間方向に前方解析を行うことによって,初期時刻の波数の確度が向上することにより,測位解とともに水蒸気解析精度も向上する.今回得られた結果は,反射波の卓越や,アンテナの姿勢変化による位相中心変動の特性が時間変化すること等が原因で,時間方向に相関するノイズの存在を示唆している.この結果は,令和2年度3次補正予算による措置として気象庁が取り組む「線状降水帯の予測精度向上のための気象観測・監視の強化」における気象庁観測船等への船舶GNSS観測の追加施策に採用された.
②に関して,測位誤差とGNSS解析による可降水量の誤差が,逆比例の関係にあることを見出した.さらに潮汐モデルによる海面高を用いた補正の可能性を検討した.
- ID情報
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- 課題番号 : 20H02420
- 体系的課題番号 : JP20H02420