2020年4月 - 2023年3月
肺虚血再灌流障害におけるS100A8/A9の役割の解明と新しい治療法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
重症肺疾患に対して、肺移植手術が唯一残された治療法となることがあるが、一時的な虚血と血液の再灌流により炎症が生じる虚血再灌流障害は依然として肺移植時の大きな問題点である。肺移植後の移植肺の機能不全は虚血再灌流障害によるものがほとんどで、基礎研究による肺虚血再灌流障害の分子メカニズムの解明や革新的治療薬が開発できると、肺移植による治療成績が格段に向上する。最近申請者らは、経時的かつ網羅的遺伝子発現解析から、肺虚血再灌流後に最も早期に過剰発現する遺伝子としてS100A8/A9を見出した。S100A8/A9は、多様な炎症反応の引き金となるためIRIの治療のターゲットとして極めて有望である。本研究では、申請者らが開発したS100A8/A9を標的とした中和抗体を用いて、肺虚血再灌流障害の抑制効果を検証し、臨床応用に向けたProof of Conceptを確立することを目的とする。
マウス肺虚血再灌流障害モデルでS100A8/A9中和抗体の効果を検証した。抗体を投与した30分後に左肺を60分クランプし(虚血)、再灌流後120分に評価し、Control群と比較・検討した。虚血再灌流障害群(IgG Control群)はSham群と比較して、有意にPaO2が低下していた。それに対して、S100A8/A9中和抗体投与群ではControl群と比較して、優位にPaO2が改善していた。病理組織学的にもS100A8/A9中和抗体群では、Control群と比較して、虚血再灌流障害に伴う炎症細胞浸潤が有意に抑制されていた。またTUNEL染色でも、S100A8/A9中和抗体群では、Control群と比較して有意にアポトーシスが抑制されていた。S100A8/A9中和抗体による肺虚血再灌流障害抑制効果を認めた。
マウス肺虚血再灌流障害モデルでS100A8/A9中和抗体の効果を検証した。抗体を投与した30分後に左肺を60分クランプし(虚血)、再灌流後120分に評価し、Control群と比較・検討した。虚血再灌流障害群(IgG Control群)はSham群と比較して、有意にPaO2が低下していた。それに対して、S100A8/A9中和抗体投与群ではControl群と比較して、優位にPaO2が改善していた。病理組織学的にもS100A8/A9中和抗体群では、Control群と比較して、虚血再灌流障害に伴う炎症細胞浸潤が有意に抑制されていた。またTUNEL染色でも、S100A8/A9中和抗体群では、Control群と比較して有意にアポトーシスが抑制されていた。S100A8/A9中和抗体による肺虚血再灌流障害抑制効果を認めた。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K09164
- 体系的課題番号 : JP20K09164