近年, 従来の概念を覆す高強度ゲルが相次いで日本で開発され, 世界中が注目している. それらの高強度ゲルは環境や生体に優しい新材料として, 医療や福祉分野に, 低摩擦性をもつことより工業材料への応用に関するソフト&ウェットマター研究が盛んにおこなわれている. また, 学部生を対象とした学生実験や工作実習においては, 新しい分析方法や新技術を用いた工作機械を用いて時代に合った講義・実習を行う動きもある. さらに, ソフト&ウェットマターは, 新機能材料として高等教育現場での活用も期待されている. 本研究では, 3Dプリンター, レーザーカッターを用いてトライボロジーに関連する測定子や測定治具を製作し, ソフト&ウェットマターを用いた摩擦測定に関するトライボロジー教材の開発を行った.
測定装置は, トリニティーラボ社製摩擦測定機「μV1000」を使用した. 本装置の特長は測定時の速度変化可能なところである. タッチパネルでの操作により初心者でも容易に操作可能である. 測定試料は, Double Network (DN)ゲルを使用した.
3Dプリンター, レーザーカッターを用いてトライボロジーに関連する測定子や測定治具は, 以下になる.
①ゲル圧縮固定治具②高分子ゲル測定子③回転式ゲル摩耗治具④摩擦界面可視化治具⑤バスタブ型固定治具⑥ゲルシール摺動試験治具⑦AFM用ゲル固定治具
これらの治具を設計・製作・使用することで, 測定困難であったゲルの摩擦測定を簡易的に行えるようになった. また, ソフト&ウェットマターのトライボロジーに関する教育効果の他に, 3D-CADでのモデリング, 治具開発など, 機械設計の基本となる技術習得にも繋がったといえる.