2008年 - 2010年
ヒト前立腺癌におけるインテグリンベータ4の発現とその意義
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
本研究ではintegrin β4が,ヒト前立腺癌において,進展を促進するように働いていると予想し,その仮説を検討する目的で,ヒト前立腺癌培養細胞DU145やLNCapにおいて,β4がどのような役割を担っているのか,またヒト前立腺癌組織における,β4とその関連分子の発現はどうなのか,などについて検討した.ヒト前立腺癌細胞において,β4はErbB2やc-Metと結合し,そのチロシンリン酸化を増強させて,in vitroにおける増殖や浸潤の増強,アポトーシスの抑制,さらにin vivoでの腫瘍増大に関与していることが判明した.またヒト前立腺癌組織において,免疫染色にてβ4の発現を検討したところ,半数以上の症例で腫瘍細胞に発現が認められ,β4を発現している腫瘍細胞は,ErbB2やc-Metも発現していることが多いことが判明した.以上から,β4が,ヒト前立腺癌において,ErbB2やMetシグナリングと関わり,腫瘍の進展を促進するように働いている可能性が示唆された.
- ID情報
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- 課題番号 : 20590361
- 体系的番号 : JP20590361