共同研究・競争的資金等の研究課題

2015年4月 - 2019年3月

X線精密分光による銀河MeV宇宙線研究の開拓

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
15H02090
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
38,220,000円
(直接経費)
29,400,000円
(間接経費)
8,820,000円

フェルミ衛星やチェレンコフ望遠鏡により,GeV・TeVの銀河宇宙線陽子の情報が入手可能になった.一方,MeV宇宙線陽子のデータは地球のごく近傍を除いて未だ皆無である.この状況で,「すざく」の観測から申請者は,銀河面の中性鉄(6.4keV)輝線の起源がMeV陽子である事を発見した.そこで本研究は下記の目的の元,精密X線分光によるMeV銀河宇宙線陽子の研究を開拓する.
2016年2月に「ひとみ」衛星の打ち上げに成功した.3月末に通信異常が発生し,最終的にそのまま「ひとみ」衛星は失われることになってしまった.痛恨の痛みである.一方で,私たちが担当したX線CCDカメラは軌道上で完全に動作した.観測した天体及び,搭載した校正線源を用いて軌道上でのキャリブレーションを行い,地上で予定していた性能が発揮することを確認した.今年度は,通信異常を起こす前に行った数個の天体の観測をもとにしたサイエンス論文と,X線CCDカメラのハードウェア論文を発表した.
これとは別に「すざく」のアーカイバルデータを用いて,複数の超新星残骸からMeV宇宙線陽子による6.4keVの中性鉄輝線を検出することに成功した.この成果により,本課題の主要な目標を達成することに成功するとともに,投稿論文を作成し,無事アクセプトされた.
わずか数個であったが,「ひとみ」衛星が観測して得たデータは非常に素晴らしいものであった.そこで,関係者の理解と努力により,代替機を打ち上げる計画の検討がはじまった.現時点で,X線マイクロカロリメーターと,X線CCDカメラを搭載することで検討が進んでいる.本研究も,このX線CCDカメラの再度実現へ向けて研究開発を進めることとした.今年度はその,ひとみ衛星用のCCDカメラに対して,代替機用のCCDカメラの改良を行った.

ID情報
  • 課題番号 : 15H02090