2015年8月
地域で生活している高齢者における踵部の乾燥症状と角層水分含有量の関連
日本未病システム学会雑誌
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- 巻
- 21
- 号
- 2
- 開始ページ
- 144
- 終了ページ
- 147
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本未病システム学会
【緒言】高齢者の足部においては皮膚の乾燥が多い。特に踵部は、その他部位と皮膚環境が異なり、乾燥しやすいことが予測される。しかし、高齢者の踵部の乾燥に注目した研究は見当たらない。そこで本研究は地域で生活している高齢者を対象に、踵部の乾燥症状と角層水分含有量との関連を明らかにすることを目的とした。そのことより踵部のケアに対する示唆を得ることができた。【方法】65歳以上の自立歩行のできる高齢者22名(男性8名、女性14名)に対し、踵部の乾燥症状(ざらざら感、亀裂、落屑、鱗屑)を観察し、角層水分含有量の測定を行った。また踵部の自覚症状とケア方法について個別面接による聞き取り調査を行った。倫理的配慮として所属大学倫理委員会の承認を得たのち、対象者に対し、口頭と書面にて説明をし、同意を得た。【結果】角層水分含有量は、踵部外縁中央の平均値7.32、踵部中央(ソール)の平均値9.76であった。踵部の乾燥症状としてざらざら感と亀裂に着目したところ、ざらざら感のある人は22名中5名、亀裂のある人は3名であった。その2つの乾燥症状の有無と角層水分含有量の平均値に有意な差は認められなかった。しかし、ざらざら感のある2名においては角層水分含有量が高い傾向が見られた。亀裂があった3名中2名は角層水分含有量が低い傾向がみられた。さらに、踵部の自覚症状のある5名中3名が踵部ケア(軽石で削る)をしており角層水分含有量が低い傾向がみられたが、保湿ケアをしていた1名は角層水分含有量が低くなかった。【考察】本研究では踵部の乾燥郊状と角層水分含有量に関連がみられず、乾燥している人は角層水分量が低いとはいえなかった。また踵部ケアとの関連から高齢者の正しい踵部のケア、特に保湿のケアの必要性が示唆された。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 1347-5541
- 医中誌Web ID : 2015400318