MISC

2015年3月

台湾における健康関連情報通信技術(ICT)を活用した高齢者の生活支援

日本未病システム学会雑誌
  • 甲村 朋子
  • ,
  • 飯盛 茂子

21
1
開始ページ
117
終了ページ
120
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(一社)日本未病システム学会

【諸言】台湾の一高齢者施設では、高齢者の生活支援にICTが活用されていた。導入前後で高齢者の活用実態を調査し、生活がどのように変化したか把握することで、日本での導入推進への一助としたい。【方法】台湾国内でICTを活用している施設において、スタッフ及びICT端末を利用している高齢者を対象に半構造化面接を行いICT端末導入による生活変化を調査する。【結果】自立高齢者を対象者とし、少人数グループで使用方法の説明を繰り返し、2年の期間をかけ導入された。しかし導入後1年でほとんど使用しないものが60%、問題なく日常生活で使用が15%、少し触れているものが25%となった。使用頻度の高い高齢者へのインタビューからICT端末によるTV電話を介し、国内外の家族とのコミュニケーションをとったことが心身の機能の改善につながっていたという意見が聞かれた。施設側としては、初期の設定で健康状態の把握ができる項目を重要視していたが、利用する高齢者は日常生活で活用できる項目であるタイマー機能や施設職員との連絡ツールとしての機能を重要視していた。生活上のトラブルにもすぐに対応できるような工夫が使用者の生活支援につながっており、使用者及び施設スタッフともに大切にしているところであった。さらに老年大学や研究スタッフとの交流など外部の人々との具体的な交流の場が定期的に確保されていた。【考察】今回の調査から、ICTの動画機能を活用することが心身機能の改善につながっている意見も聞かれた。ICT機能としては健康管理側面だけではなく、生活視点の機能が高齢者の生活支援にかかせないものであった。それ以上に、生活を支えようというスタッフの方針が重要である。ICTはこれらの不十分な部分を補うためのものであり、IADLの機能維持に結びつく支援ツールとなることが必要である。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1347-5541
  • 医中誌Web ID : 2015223275

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