基本情報

所属
東京農工大学大学院 農学研究院 准教授
学位
博士(農学)(東京農工大学)
修士(工学)(横浜国立大学)

J-GLOBAL ID
201801005399866898
researchmap会員ID
B000329927

プロフィール等紹介

2024年4月に、近畿大学から移籍し東京農工大学に新たに研究室を発足しました。これまで研究歴として、大学院を修了後、民間企業の技術研究を行う部署の研究員、公設試験研究機関の研究員、前職の近畿大学准教授を経て、現在に至ります。

近年、脱炭素・持続可能社会の実現に向けて、CO2を固定する優れた材料である木材に再び注目が集まっています。木材は、家具や遊具等の小規模構造物から体育館・図書館・庁舎といった中大規模木造建築物まで、様々なスケールで利用されています。いずれの構造物も、構造的な弱点は接合部にあり、接合部の性能が構造物全体の性能に大きく影響します。そのため、接合部の性能を適切に把握し、外力に対して安全となるように設計していかねばなりません。しかし、木材はその他の鋼材等の工業材料と違い、生物材料であるが故に、強度等の物性値が大きくばらつきます。したがって、このようなばらつきの大きい材料で構成される接合部を理解するには、材料の物理的特性等から接合部の機械的性能・耐久性等まで段階的・包括的に深い探究をしていかねばなりません。このような観点から、これまで以下のような研究を実施し、様々なアプローチ・手法を駆使して学術的な問題を解決しようとしています。

<研究内容>

最近は、主として以下のような研究に興味を持って進めています。

■プレストレスを利用する木材接合部に関する研究

 木材接合部にボルトやラグスクリュー等の接合具を用いてプレストレスを与えることで、プレストレスを与えない場合と比較し剛性・耐力および減衰能の大幅な増大が期待できます。これまで、プレストレスを利用する接合部として木材摩擦接合およびモーメント抵抗接合の2つの接合部を提案し、研究を進めてきました。しかし、このようなプレストレスを利用する木材接合部には、主として3つの大きな研究課題が考えられます。①木材の長期応力緩和・クリープ挙動の把握と評価、②プレストレスの制御手法の確立、③プレストレスを与えた接合部および木質材料の力学的特性の解明 これら3つの研究課題について、実験・解析的に取り組んでいます。

■圧縮加工早生広葉樹材の変形回復特性を利用した木材接合部に関する研究

 木材は、繊維直交方向に熱プレスを加えると、周囲の湿度変動に応じた変形回復性能を持つことが知られています。一方で、相欠き仕口等のような嵌合接合部の場合、木材の乾燥収縮によって初期ガタが生じるため初期剛性が低いことが知られています。このような嵌合接合部に前述した圧縮木材を挿入することで、初期ガタを抑え初期剛性の向上が期待できます。これまで、スギやヒノキといった針葉樹材の圧縮木材を用いた耐震補強の実際例が見られます(清水他, 日本建築学会技術報告集, 2020)。本研究では、針葉樹材の替わりに、里山で放置されていることが多く有効利用が期待されている広葉樹材の中でも、成長の早い早生広葉樹材に着目し、圧縮加工を施した場合の変形回復特性を理解しようとしています。また、接合部の弱点を克服し材料の利点を最大限に引き出す新しい接合形式も模索しています。

上記以外にも、新しい表面処理技術を用いた木材の撥水性能向上に関する研究、簡便な工具を用いた木材および接合部のめり込み剛性・ヤング係数評価法に関する研究、非破壊検査装置を用いた木材の力学的特性評価に関する研究、など他研究機関と共同で研究を進めています。

<大学院生募集>

当研究室は、木質構造、木質材料等に強い興味を持ち、研究が好きな修士課程、博士課程の大学院生を募集しています。他大学、他分野の方も歓迎いたします。研究室や研究内容に興味がある方はお気軽にまずはご連絡ください。


論文

  36

MISC

  122

共同研究・競争的資金等の研究課題

  11