共同研究・競争的資金等の研究課題

2004年 - 2005年

磁気流体過程を考慮した銀河中心核ガス円盤の形成と活動性の研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
16340052
体系的課題番号
JP16340052
配分額
(総額)
14,900,000円
(直接経費)
14,900,000円

銀河中心核ガス円盤の形成機構と、その活動性の起源を明らかにすることを目的として星とダークマターが作る銀河重力ポテンシャル中を回転するガス円盤の時間発展を3次元磁気流体(MHD)コードを用いて調べた。その結果、磁気回転不安定性の成長とともに磁気乱流が生成され、磁気ストレスによる角運動量輸送に伴って円盤ガスの一部が銀河中心から1kpc以内の領域まで落下すること、方位角方向の平均磁場が10億年程度の周期で向きを反転しながら1μG程度まで増幅されること、平均磁場方向が銀河面付近と銀河ハローで逆転すること、磁場反転は銀河円盤からの磁束浮上によって駆動されること等が明らかになった。次に、銀河中心から1kpc内の中心核ガス円盤の時間発展を調べ、中心ブラックホールに向けて降着が進むこと、観測と類似した磁気ループ構造が形成されること等を明らかにした。
ガス円盤を垂直方向に貫く磁場が中心核に持ち込まれる場合の時間発展を磁気拡散の影響を考慮して調べ、準定常的にジェットを噴出しながら質量降着が進むことを示した。また、カーテシアン座標系3次元の磁気流体シミュレーションの結果、ジェットの回転によって電流駆動型の非軸対称不安定性の成長が抑えられることがわかった。次に、非軸対称重力ポテンシャル中を回転するガス円盤中に発生する渦状衝撃波の安定性をMHD数値実験によって調べ、1μG程度の磁場がある場合でもケルビンヘルムホルツ不安定性に起因するwiggle構造が成長することを示した。
宇宙磁気流体統合コードCANSにRoe法にもとつく3次元磁気流体シミュレーションエンジンを実装した。CANSのドキュメント化を進め、英語版Webページを公開するとともに、2006年3月に千葉大学で開催したアジア地域の国際シミュレーションスクールの教材としても活用した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16340052
ID情報
  • 課題番号 : 16340052
  • 体系的課題番号 : JP16340052