共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年9月

戯作の出版・流通・受容の研究―貸本問屋大島屋伝右衛門の営業に注目して―

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
  • 松永 瑠成

課題番号
18J20862
配分額
(総額)
3,100,000円
(直接経費)
3,100,000円
(間接経費)
0円

本年度は、新たに聚栄堂大川屋錠吉(後の大川屋書店)の調査に着手するとともに、大島屋伝右衛門を取り巻く人物らに着目した研究を進めた。まず、第12回十九世紀文学研究会において、「初代大川屋錠吉の黎明―明治二〇年代までを中心に―」と題する口頭発表を行った。発表では、明治以降に目覚ましい躍進を遂げる大川屋の初代が、浅草の書肆高梨弥三郎と瀬山直次郎、そして3代目大島屋伝右衛門と結託するなかで、版元としての基盤を築き上げたこと、また後に大川屋が貸本問屋として営業を展開していく背景には、多分に大島屋の影響があったことなどを指摘した。次に「大島屋伝右衛門と池田屋一統―売薬「処女香」を端緒として―」(『出版研究』50号、日本出版学会、2020年3月)を公刊した。本稿では、売薬「処女香」の広告や引札をもとに、大島屋と池田屋清吉・池田屋利三郎・池田屋幸吉ら池田屋一統との繋がりを指摘するとともに、その繋がりをもととして展開された書籍流通について論じた。
また、石川県立図書館所蔵辻家貸本文庫の調査に基づいた「近代金沢における書籍受容と春田書店」(『中央大学国文』63号、中央大学国文学会、2020年3月)を公刊した。本稿では、辻家貸本文庫が大正ごろに金沢市尾張町で営業していた貸本屋(春田書店)の旧蔵書であることを明らかにした上で、同地における書籍受容の様相を書籍それ自体に残されたあらゆる痕跡から考察した。春田書店は大川屋が発行した書籍も蔵書していたことから、今後はそれらの書籍がどのように流通したのかも明らかにしたいと考えている。

ID情報
  • 課題番号 : 18J20862