論文

2016年9月

市町村母子保健事業の栄養担当者の視点による母子の心配事の特徴 妊娠期・乳児期・幼児期に関する栄養担当者の自由記述の分析

日本公衆衛生雑誌
  • 高橋 希
  • ,
  • 祓川 摩有
  • ,
  • 新美 志帆
  • ,
  • 衞藤 久美
  • ,
  • 石川 みどり
  • ,
  • 加藤 則子
  • ,
  • 横山 徹爾
  • ,
  • 山崎 嘉久

63
9
開始ページ
569
終了ページ
577
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.11236/jph.63.9_569
出版者・発行元
日本公衆衛生学会

目的 市町村母子保健事業の栄養担当者の視点による、妊娠期・乳児期・幼児期の母子に多い心配事の特徴を明らかにする。方法 全国1,742市区町村の母子保健事業の栄養担当者を対象とし、平成25年1月〜3月にインターネットによる調査を実施した。栄養担当者が心配事と捉えた母子の心配事について、妊娠期・乳児期・幼児期ごとに自由記述による回答を、妊娠期630、乳児期延べ889幼児期延べ1,034市区町村から得た。分析は、ウェブ上のフォームに入力されたテクストを、分析単位ごとにMicrosoft Excelのセルに一つずつ入力し、一つの心配事のケースに複数の意味のテクストが入っている場合は、それらを分割し別々のセルに入力した。次に、健康日本21(第一次)の栄養・食生活分野の目標設定の枠組みを参考とした4つのカテゴリ(「QOL」、「栄養状態・栄養素(食物)摂取」、「知識・態度・行動」、「環境」)に分類し、分類できないテクストは「その他」に分類した。分類後、各カテゴリ内において、意味の類似するテクストをまとめて下位サブカテゴリを生成し、類似する下位サブカテゴリをまとめ、上位サブカテゴリとした。なお分析は、妊娠期・乳児期・幼児期ごとに行い、すべての作業は妥当性を高めるため、複数の専門職により行った。結果 上位サブカテゴリを【 】、下位サブカテゴリを< >、テクスト数を()で示す。各時期でテクスト数が多かったサブカテゴリは、妊娠期では【体重増加量】における<体重増加過多>(170)、【健康状態】における<貧血への対応・予防>(148)、<つわりへの対応>(105)、乳児期では【離乳食の進め方】における<進め方が分からない>(297)、【離乳食の食べ方】における<食べない>(186)、幼児期では【食べ方】における<偏食・好き嫌い>(419)、<小食>(212)、<むら食い>(178)、<遊び食べ>(127)、<よく噛まない>(154)、【食事・間食のリズム】における<間食の与え方>(147)であった。結論 栄養担当者の視点による各時期における心配事の内容および特徴として、妊娠期では母体の変化に伴う【健康状態および体重増加量】、乳児期では個々に応じた食生活支援が求められる【離乳食の進め方と食べ方】、幼児期では子どもの発育・発達により個人差が生じる【食べ方】および家庭により対応が異なる<間食の与え方>が把握された。(著者抄録)

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.11236/jph.63.9_569
ID情報
  • DOI : 10.11236/jph.63.9_569
  • ISSN : 0546-1766
  • 医中誌Web ID : 2017078084

エクスポート
BibTeX RIS